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叱らない!教えない!でも子どもは育つ。大切なのは「ふざけ」「いたずら」「ずる」「脱線」

5/16(木) 11:00配信

文春オンライン

「神奈川御三家」と称される超進学校・栄光学園中学高等学校に、「イモニイ」こと井本陽久というカリスマ数学教師がいる。

【写真】イモニイの授業の写真を見る(全4枚)

 東大合格者数では全国トップレベルの超進学校に在籍してはいるが、イモニイのチャームポイントは、大学受験指導にあるのではない。「21世紀のグローバル人材を育成する」なんてお題目はこれっぽっちも掲げていない。「イケメンすぎる数学教師」という評判も、残念ながら聞かない。

 それでもイモニイの授業には、全国の教員やカリスマ塾講師が「一目見たい」と見学に訪れる。そして一様に感動して帰っていく。授業を受ける生徒たちの躍動感が違うのだ。まるで魔法だ。

 イモニイは宿題を出さない。市販の問題集をやらせたりということもしない。それでも教え子には、数学オリンピックや数学甲子園の上位入賞者や世界で認められた思考センス育成アプリの開発者などがぞろぞろいる。

 私は6~7年にわたってイモニイの教育現場を取材してその成果を 『いま、ここで輝く。』 という書籍にまとめた。そこでわかったことがある。

 イモニイの魔法の秘密の1つは、実は、生徒との対等な関係性にある。その安心感の中でこそ、子供たちは最もよく学び、結果を出し、大きく成長するのだ。

 栄光学園の生徒たちにイモニイの「評判」を聞くと、こんな答えが返ってくる。「生徒への愛が普通じゃない」「自由なひと。生きていればそれでいいじゃんと本気で言ってくれる」「夢中にさせる名人」「生き方がかっこいい」「ツッコミどころ満載で、生徒からナメられそうなのに、ナメられない。それが不思議」。

 世間には、年頃の子どもの傍若無人なふるまいに頭を抱える親御さんも多いことだろう。悪態をつく生徒にどう対処していいのか戸惑う教員も多いはずだ。そこで、イモニイに、子どもたちとのコミュニケーションのコツについて聞いた。

大切なのは「ふざけ」「いたずら」「ずる」「脱線」

――思春期の生意気な子どもたちを前にしてもイモニイは怒鳴ったりしないじゃないですか。そんなんで生徒指導できるのかと思うひとも多いと思うのですが。

「そもそも子どもが『ふざけ』『いたずら』『ずる』『脱線』をしているときは、いちばん自分の頭で考えているときなんです。それをむやみにストップしてしまうのはもったいない。むしろそれを活かさないと。一般的には悪いとされることのなかにも、子どもの良いところを認めるようにすると、子どもはどんどん自分で考える子になっていきます」

――よく「ありのままの子どもを認める」って言いますけど、いきなりありのままを認めるって言われても、普通のひとは何からしていいのかわかりませんよね。いわゆる「悪さ」のなかにも子どもが本来もつ輝きを見いだそうとすると、それだけできっと子どもを見る目が変わって、いつの間にかありのままを認められるようになりそうですよね。

「でも状況によっては僕も全然怒りますよ。個々はきちんとしていても集団になると全然ダメっていうことあるじゃないですか。考えて『悪さ』をしているというよりは、考えないで堕落して行くみたいな。そういうときに注意とか、ハッとさせるとかは、全然使えばいいと思っているし。まず、『怒る』っていうのはアリだと思うんですよ。『怒る』っていうか、『叱る』か。そうじゃなくて、人格を攻撃しちゃったりとか。それ、できちゃうじゃないですか、ひとって。そういうときに、自分の怒りを正当化しないっていうことのほうが大事だと思うんですね。だから僕も全然ありますよ。ひとよりは少ないと思うけど」

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最終更新:5/16(木) 12:00
文春オンライン

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