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なぜ高校生は国家に抵抗したのか?「ベルリンの壁」以前の東ドイツで起きた実話

5/16(木) 8:45配信

bizSPA!フレッシュ

冷戦の象徴「ベルリンの壁」が国民に与えた影響

――日本人のなかには東ドイツと西ドイツの国境に、万里の長城のような長い“ベルリンの壁”が建設されたと誤解している人も多いのですが、実際は、東ドイツ内に位置するベルリンのなかの西ベルリンをぐるっと囲んだのが「ベルリンの壁」ですよね。なぜ建設されたのでしょう? 人々の日常にどのような影響を与えたのですか?

クラウメ監督:ベルリンの壁が建設された理由は、東ベルリンから西ベルリンへの人口流出が後を絶たなかったからです。東ドイツは西ベルリンへの入り口を封鎖することによって、市民を東ドイツに閉じ込めて社会主義国家の奴隷にしたわけです。その結果、壁によって、西ベルリンは“陸の孤島”になってしまった……。西ベルリンと西ドイツを結ぶ交通網、食品、エネルギーの供給網がなくなった上に、ベルリン内に住む家族も引き裂かれました。だから、ドイツ人にとって、“ベルリンの壁”は“暴政の象徴”とも言えます。

東ドイツ出身者によるキャストを揃えたわけ

――本作のほぼ全員が東ドイツ出身だと聞きました。

クラウメ監督:よりリアルな物語にしたくて、あえてキャストは東ドイツ出身者を選びました。彼らの個人的な経験が役作りに活かされるだろうし、脚本にもアドバイスしてくれると思ったからです。

 例えば、校長役のフロリアン・ルーカスも東ドイツ出身で、原作や映画で描かれているように、教師の資格や経験がないのに、いきなり任命されて生徒たちに教えるはめになったという教師が、東ドイツには実際にたくさんいたと教えてくれました。そういった即席の教師は、授業でなにをやったらよいのかさっぱり分かっていなかったそうです。

 映画製作の素晴らしい点は、こういう風に違う視点の人達がたくさん集まってひとつの作品を作り上げるところなんですよね。様々な人とコラボレーションすることによって、自分の想像以上の作品が出来上がりますから。

クラウメ監督が、若者に伝えたいこと

――今、アメリカでは、資本主義が生み出した経済格差に幻滅して社会主義や共産主義に共鳴する若者が増えていますが、監督はこの流れをどう思いますか?

クラウメ監督:中国が民主化なしにあれほどの経済発展を遂げたのは驚きですよね。とはいえ、共産主義が資本主義の欠点を解決できるとは到底思えません。民主主義や資本主義は完璧ではないですが、これよりマシな政治システムって他にありますかね……?

 今の若者に伝えたいのは、まずヨーロッパの歴史を知ること。戦争、植民地政策、独裁主義、近代社会の誕生、社会主義と共産主義……こういったことがぎゅっと詰っているヨーロッパの歴史を通じて、人間の犯した間違いや異なる主義主張を学ぶことは、きっと自分の意見を形成していくことに役に立つんじゃないでしょうか。

<TEXT/此花さくや 撮影/山田耕司>

bizSPA!フレッシュ 編集部

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最終更新:5/17(金) 2:11
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