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遅れてきたロッテの切り札。高濱卓也“ひと振り”にかける1年。

5/16(木) 11:31配信

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 背中に降り注ぐ声に、万感の想いがこみ上げた。

 「ずっと待っていたぞ!」

【秘蔵写真】森友哉や中田翔、藤原らは高校時代から物凄い威圧感だった。

 「よくやったー! ありがとう!」

 2019年のプロ野球が開幕して1カ月半。“遅れて”チームに合流したその男は、スタンドから投げかけられるファンの言葉に安堵感のようなものを覚えていた。

 「なんとか早く一軍の舞台に立ちたいなとずっと思っていたので……。そこでこういう結果が出て、みんなが喜んでくれたのは本当に嬉しかったです」

 そう語る彼の目はうっすら潤んでいるようにも見えた。

 '19年5月9日、県営大宮球場。埼玉西武対千葉ロッテ戦。延長11回に及ぶ熱戦にケリをつけたのは、この日代打で登場したプロ12年目、今年で30歳を迎える千葉ロッテ・高濱卓也のバットだった。

戦力外通告も覚悟した高濱。

 '11年に、FAで阪神に移籍した小林宏之の人的補償として千葉ロッテに加入。そこから早8年の月日が流れた。'16年には椎間板ヘルニアを発症し、近年は思うような成績を残せずに苦しむ。

 2017年 28試合35打数6安打0本塁打1打点 打率.171
 2018年 10試合12打数3安打0本塁打0打点 打率.250

 一軍でも二軍でも出場機会が減って行き、昨年は戦力外通告も覚悟した。

 「今年でもう、ダメかな……」

 昨年のシーズン終盤には、心が折れかかるときもあったというが、そんなある日、妻がポツリと漏らした言葉に、もう1度気持ちを奮い立たせることとなる。

 「稼げるのは野球だけじゃないからね」

 その言葉にどこか救われた想いがしたし、ほんの少し勇気がもらえたような気がした。高濱がこう振り返る。

「代打枠」として割り切る。

 「昨年、(戦力外を)覚悟したのもありますし、とにかくやれることをやって、そこで体が壊れてもいいという覚悟でやってやろうと決めました。今まではどうしても『チームに残りたい』、『野球をもっとやりたい』って考えでやっていたと思うんですけど、そんなことも言っていられない立場になりましたし、本当の意味で1年、1年が勝負だなって思えるようになったんです。

 ダメだったらそこで潔く野球を辞めようではないですけど、それくらいの覚悟を持ってやってやろうと思いました」

 昨年の契約更改時、チームから「代打の枠が空いている」と告げられ、自身の生きる道を見出した。

 だから今季は年明けの自主トレからいつにないくらいバットを振り込み、2月1日のキャンプインに備えると、気持ちの部分でも今までは感じたことがない、ある種の割り切りみたいなものが生まれてきたという。

 「自分の中でも『レギュラーはほぼ決まっているし、それだったらバッティングを中心に今年は磨いていこうかな』という考えになりました。それだけ今年はなんとか一軍に残りたいという思いだったし、まずはそこからシーズンに入って、自分の結果が良ければ、誰かがどこかで抜けたときにそこを埋める存在にもなっていけるんじゃないかって思ったんです」

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最終更新:5/16(木) 11:51
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