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久保建英と“同じで違う”センス。U-20日本代表のキーマン、斉藤光毅が欲するものとは?【西部の目】

5/17(金) 10:48配信

フットボールチャンネル

間もなくFIFA U-20ワールドカップ2019が開幕する。U-20日本代表は才能豊かな選手たちが名を連ねたが、久保建英ら主力数名が選外となった。そんな中で注目は横浜FCのFW斉藤光毅だ。久保と同じ17歳の俊英は、来る世界大会へ野心を燃やしている。彼の貪欲さは、チームの勝利に不可欠な要素である。(取材・文:西部謙司)

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●光るセンスの良さ

 ポーランドで開催されるU-20ワールドカップ。AFC U-19選手権でプレーした安部裕葵、大迫敬介、久保建英の3人がメンバーから外れている。コパ・アメリカへ臨むA代表へ選出するためのようだ。安部と久保を欠いた攻撃陣でキーマンになりそうなのが斉藤光毅である。

 インドネシアで行われたAFC U-19選手権に最年少で出場、2試合連続得点の活躍をみせた。17歳はU-20ワールドカップの日本代表メンバーでも最年少だ。170センチと小柄、体格も華奢にみえるが、インドネシアでは最も光った選手の1人だった。

 センスがいい。ボールコントロールの柔らかさ、動きの俊敏さもあるが、天性のカンの良さを感じさせる。センスでは同年齢の久保も素晴らしいが、同じセンスの良さでも、調味料なら久保は濃い口、斉藤は薄口という感じだろうか。日本のサッカー少年の理想を体現しているようなプレーぶりだと思う。

 パスもドリブルもできて点もとれる。洗練されていてオシャレで遊び心がある。中でも得点感覚が非凡だ。いい場所にいいタイミングで現れる、そしてフィニッシュにアイデアがあって正確。ペナルティーエリアの中で落ち着いている。

「(U-20ワールドカップは)結果を残して飛躍の大会にしたい」(斉藤光毅)

 結果とは? と聞くと、「目に見える結果です。ゴールかアシスト」と答えた。

●目に見える結果

 三浦知良を初めて日本代表に招集した横山謙三監督は、「最初はそんなに凄い選手だとは思わなかった」と、後に話していた。ただ、すぐにある非凡さに気づいたという。

「足も速くなかったですよ。シュートしてもDFにブロックされていた。ただ、2本目もブロックされても3本目で決めてしまう。そのときも相手の足に当てていたり、足の間を抜けていったりなんだけど」

 2本続けてブロックされると、3回目は違うことをやりたくなるものだ。ところが、カズは同じようなシュートで強引にでもねじ込んでしまう。これはもう技術の問題よりメンタルの力で、ある種のゴールセンスである。

 斉藤はプロデビュー戦(2018年J2第24節・FC岐阜戦)でクラブ最年少記録を作ったが、そのときに35歳上のカズと同じフィールドに立っている。横浜FCにはルマン(フランス)をはじめヨーロッパで活躍した松井大輔もいる。松井は「ヨーロッパでのし上がっていくには、わかりやすい結果が必要」と話していた。

 松井が移籍した当時のルマンは2部だった。フランスの2部といえば、強烈なフィジカルコンタクトが続く試合である。技術はない、というより技術を発揮するような試合にならない。選手の目標は「プレミアリーグ」だったそうだ。2部から1部へ、さらにイングランドへ移籍したい、そのために必要なのが「目に見える結果」だという。

 アタッカーは独力で得点すること。ぬかるんだフィールド、蹴り合いの展開の中で、パスワークの終点としてのフィニッシュはまず期待できない。どんなにプル・アウェイでマークを外しても、味方はそんなものなど見てくれていない。

 1人で突破して決めるか、クロスボールを叩き込むか。上手いFW、守備でも貢献してくれるアタッカーは、チームにとって有り難いかもしれないが、のし上がっていきたい選手がほしいのは内部評価ではなく、誰が見てもわかるゴールやアシスト=目に見える結果なのだ。

●才能は結果にして見せつけるもの

 斉藤は「目に見える結果」を残したいとU-20ワールドカップへの抱負を語っている。「ドリブルや犠牲心」もつけ加えていたが、それよりも「目に見える結果」を先に言ったのは良い傾向ではないかと思った。

 これからのし上がっていきたい若い選手、とくにアタッカーには野心が必要だ。日本なら得点以外のチームへの貢献も評価されるが、ヨーロッパや南米では「結果(得点)」しか評価対象にならないといっていい。1部の上位クラブへ移籍すれば、得点以外のプレーも評価されるかもしれないが、そこへ到達するには1にも2にも結果である。センスの良さでは食っていけない。

 カズが独特の勝負強さを身につけたのも、若いころにブラジルで揉まれた経験があったからだろう。日本では「1人でやろうとしすぎる」「強引すぎる」と言われがちな姿勢も、のし上がろうとしている選手しかいない環境ならそれが普通。才能は見出してもらうものではなく、わかりやすい結果にして見せつけるもの。そのかわり得点すれば、わりと素直に評価してくれる。

 U-20ワールドカップが斉藤にとって「飛躍の大会」になるかどうかは、得点か得点に直結するプレーができるか次第だろう。チームの勝利にとっても必要だ。貪欲に「目に見える結果」を求めていくということでいいのではないかと思う。

(取材・文:西部謙司)

最終更新:5/17(金) 10:48
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