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山一破綻で自宅売却 プロが学んだゼロからの資産形成

5/18(土) 7:47配信

NIKKEI STYLE

「お金で考える人生100年の計」を執筆してきた、フィデリティ退職・投資教育研究所の野尻哲史さんは4月に定年を迎えました。これからはご自身が老後のお金と向き合いますが、今どのようなことを考えているのでしょうか。今回は野尻さんにご自身の老後資産作りについて振り返っていただきます。

◇  ◇  ◇

■資産作りはマイナスから

──野尻さんはどう老後の資産作りを行ってこられましたか。

正直、社会人生活の前半戦で今みたいな資産形成をしているとは想像もつかなかったですね。勤めていた山一証券が1997年に廃業になり、マイナスからの資産作りをしなければならなかったので。

当時の私は38歳で、マンションをローンで買っていました。当時山一証券が金利を補助してくれる関係で、ローン契約は山一証券と私の間で結ばれていましたから、廃業に伴ってこれを一括で返済しなければならなくなりました。

普通住宅ローンは退職金で支払うのが一般的です。ところが退職金の額がさほど多くないうちに廃業となり、ローンを返済するにはとても足りませんでした。老後の資産作りにとコツコツ買っていた、山一証券の自社株も紙くず同然になってしまいました。正直、老後資産作りをどうするかを考える余裕はありませんでしたね。

幸いにも労働省(当時)の特例で、融資の借り換え先を探すための猶予期間が設けられました。ほっとしつつもローンの借り換え先を探さなければならず、いくつもの金融機関に相談しましたが、最終的にはどこも一定期間の勤続年数がなければ借り換えは認められませんでしたね。まあ、当時の私にとっては勤続日数が問題だったんですけど(笑)。結局、マンションを買い替える形でローンを新しく組むしかなく、結果片道1時間半ほどのところに住むことになりました。その後12年ほど住むことになります。

──具体的なやり方は。

やり方はとてもシンプルです。外資系証券に移ったため給与水準自体は上がりましたから、その上昇分のお金は住宅ローンの返済を進めたり、貯金に回しました。その一方で、ボーナスを中心にETF(上場投資信託)への投資を行いました。少し余裕が出てきたので、12年ほど前に毎月の積み立て投資に切り替えました。その時にも、ボーナスは住宅ローンの返済と貯金、ETF投資に振り分けていましたね。

資産形成というと投資というイメージがありますが、個人的な経験から言うと貯金などいつでも使える現金があった方がいいと思っています。山一証券が廃業した時にお金がなかったという恐怖心から、やはり万一のためのお金があるという心の安寧のために貯金は必要だったのです。

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最終更新:5/18(土) 12:15
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