ここから本文です

居酒屋・スナック巡りに活路 外国人客狙う東北の試み

5/18(土) 7:47配信

NIKKEI STYLE

インバウンド(訪日外国人)の取り込みが遅れている地域の一つ、東北。そこで旅行会社を立ち上げ、外国人旅行客と地域住民との橋渡しに奔走しているのが「たびすけ合同会社西谷」(青森県弘前市)代表であり、「株式会社インアウトバウンド仙台・松島」(仙台市)代表取締役の西谷雷佐(にしや・らいすけ)さん(46)です。有名な観光地がなくても、ピカピカの施設がなくても、固定観念を取り払えばチャンスはある――。西谷さんのお話からは、インバウンド受け入れのさらなる可能性が浮かび上がってきました。(聞き手はやまとごころの村山慶輔代表)
――まず青森県弘前市で旅行会社を始めたきっかけを教えてください。
「大学時代、米国の人口3万人ほどの町に住んでいました。そこでは車椅子で学校に通い、バスに乗る人を日常的に見かけました。バーでお酒を飲んでいる車椅子の人もいました。18万人の弘前市にも車椅子の方はたくさんいるはずですが、街を歩いていてすれ違うことはほとんどありません。そういう方が気軽に外出や旅行ができるようになれば、とお手伝いをする会社を立ち上げたんです」

■人の力でバリアーを乗り越える

――旅の助っ人として壁(バリアー)を取り除くのではなく、一緒に乗り越える、という考え方に共感します。ただ便利だからいいわけじゃないこともありますよね。
「車椅子の方に、旅先でおいしいラーメンが食べたいと言われたら、車椅子でも入りやすい設備の整った、味は普通のラーメン屋さんに連れて行くのではなく、本人が希望すれば、たとえ狭くて不便で並んででも、その地域らしいおすすめのラーメン屋さんに行けるようにサポートする、それが私たちの考えるバリアフリーです。道路を広くしたり段差をなくしたり、環境整備につい目が行きがちなんですが、最終的なバリアフリーって人だと思うんです」
「例えば伊勢神宮には玉砂利が敷き詰められていますが、車椅子だと通れないからアスファルトにすればいいって話ではないですよね。そこには昔ながらの日本らしい旅の情緒があるわけで。伊勢の場合は、参道を自由に通ることができない人には、人の力を介して参拝のお手伝いをするバリアフリーセンターを設けました。不便だとしても、そこに見るべきもの体験すべきもの、食べたいものがあるから、人は旅をするんです。人の力で最終的に寄り添っていくことが、私は美しいなと思います」
――外国人観光客にとっては言葉や文化のバリアーがあります。日本らしさというテーマで何かユニークな取り組みはありますか。
「『居酒屋ホッピング』『スナックホッピング』などの有料ツアーを提供しています。最初は出張で来る日本人ビジネスマン向けに始めました。夜、知らない街で店に入るのはなかなか勇気がいりますよね。失敗したくないですし。実際に複数のビジネスマンに集まってもらってヒアリングを行い、彼らの要望に沿ったツアーを組み立てました。もう4、5年やっています。店1軒につき30~40分滞在して、3軒ほど回ります。1プレートの郷土料理とお酒が付いていますが、それ以上飲み食いしたい場合はその場で追加の支払いをしてもらいます」
「宿と連携して販売しているうちに、外国人からの問い合わせが増え、英語のツアーも開始しました。自社のWEBサイトに載せてまだ数カ月ですが、結構予約が来ています。仙台では台湾からの方が多いのですが、青森はなぜかアメリカ人が多いですね」

1/2ページ

最終更新:5/18(土) 12:15
NIKKEI STYLE

記事提供社からのご案内(外部サイト)

ライフスタイルに知的な刺激を。
生活情報から仕事、家計管理まで幅広く掲載
トレンド情報や役立つノウハウも提供します
幅広い読者の知的関心にこたえます。

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事