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コンコルドはなぜかくも厄介な旅客機だったのか? ― 超音速飛行をめぐる波瀾万丈の物語

5/18(土) 21:10配信

エスクァイア

 コンコルドは、ロールスロイスのアフターバーナー(ジェットエンジンの排気に対して、もう一度燃料を吹きつけて燃焼させて高推力を得る装置)を4基備えています。これらは戦闘機に使用されるのと同種のもので、1基が約17トンの推力を生み出すのです。

 機首は折れ曲がったような形で傾斜していますが、これは離陸時と着陸時には機首を下げて、パイロットが滑走路を目視できるようにするためのものです。ブレーキシステムには改良が加えられて、音速以下の飛行機に比べて、遥かに高スピードで着陸しても損傷を受けることなく、滑走路に降り立つことができるようになりました。

 飛行中には機首の温度が130度を超えるくらいまで上昇することがあるので、反射性のきわめて高い白い塗料を使用して、熱を発散するようになっていました。

 そして、エンジニアリング上の改良の中でも最も印象的なのが、三角形のデルタ翼でしょう。その中でもコンコルドは「オージ翼」(または同じ形の翼を持つ『F-16XL』では『クランクト・アロー・デルタ翼』)と呼ばれるものです。

 「技術的な細かな改良点はいろいろありますが、薄いデルタ翼に比べたら、他は取るに足らないものばかりと言っていいでしょう。あの画期的なデザインのおかげで、超音速飛行を持続させることが可能になったのです」と語るのは、『コンコルド最後の日々』の著者、サム・チッタム氏です。

 国の威信をかけた努力が実を結んで、コンコルドは、人類が初めて月面に降り立つ4カ月前に、初飛行に成功しました。1973年のパリで、ソ連の超音速機に勝利するのです。そして、それからほどなくして、コンコルドはついに飛行場に姿を現しました、ブリティッシュ・エアウェイズとエール・フランスのロゴを機体にまとって。

ゴージャスな空の旅

 コンコルドは、マッハ2(時速1350キロ)を超えるスピードで飛行することができました。音速を超えると耳障りな轟音が生じますが、客室は静寂そのもの。またコンコルドは、時間に関する常識も超えたのです。

 公式の予定時刻によると、ロンドン発ニューヨーク行きのフライトでは、出発時刻よりも前に到着することになっているです。アイルランド人のジャーナリスト、テリー・ウォーガン氏(Terry Wogan)はコンコルドに乗ると、「ヒースロー空港で朝食を食べたあと、到着したニューヨークでもう一度朝食を食べることができた」と、当時のことをうれしそうに振り返っています。

 コンコルドはボーイングの大型機747のデビュー以来、久しく見られなかったようなセンセーションを巻き起こしました。

 やがて同機は、ショービジネス界のスター御用達の飛行機となります。例えばイギリスのテレビ司会者デヴィッド・フロスト氏は、ロンドンからニューヨークへ行って番組を収録したあと、またロンドンに戻ってから就寝していたという伝説を残しています。しかしサム・チッタムが、『ポピュラー・メカニクス』誌に語っているように、コンコルドでの空の旅というのは、その他の人たち…一般の人々にしてみれば、「一生に一度はやってみたいもの」のひとつだったのです。

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最終更新:5/18(土) 21:10
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