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留学中に入手した岡倉天心『東洋の理想』は宝物 兵庫県立美術館長が愛読書を語る

5/18(土) 6:20配信

NIKKEI STYLE

古本屋になりたいと思うほどの本好き

経済人や有識者が、愛読書や座右の書について語る連載「リーダーの本棚」。今回は兵庫県立美術館館長の蓑豊氏です。

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2004年から金沢21世紀美術館で初代館長を務め、年間150万人超が訪れる名物美術館に育て上げた。古都・金沢では現代アートの普及に努めたが、もともとの専門は中国陶磁だ。

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父は東京・銀座で茶道具を扱う「博山堂」という店を構え、益田鈍翁、藤原銀次郎といった昭和の大茶人にかわいがられた目利きでした。自転車やオモチャは買ってくれないが、本であれば何でも買ってくれた。古本屋になりたいと思うほどの本好きになったのは父の影響でしょう。

慶応義塾大学では水墨画をやりましたが、陶磁研究者で陶芸家の小山冨士夫先生と出会って研究の対象が変わった。大学3年の時、小山先生に頼み込んでエジプト調査に連れて行ってもらったのです。山積みになった何万個もの陶器の破片から中国のものだけを拾い出すのが仕事。破片が頭上に崩れ落ちてくるし、鼻の穴はホコリで真っ黒。ひたすら陶器の破片を見続けたのはいい勉強になりました。

小山先生の『中国・台湾 やきものの旅』は現地の古窯や博物館を訪ね歩いた随筆で、行動派の研究者だった先生らしい本です。なにしろ一橋大学時代に共産主義に感化され、学校を中退して北海道から蟹(かに)工船に乗った人です。研究に目覚めてからは陶磁器を求めて中国から朝鮮半島、東南アジア、イラクやイラン、欧州まで旅をされた。大学を出て古美術商に勤めていた私を「カナダのトロントにあるロイヤル・オンタリオ博物館に膨大な中国陶器があるから、全部調べてこい」と送り出してくれました。1968年のことです。横浜港を出港すると船上に先生から電報が届きました。「学者になるまでは帰るな」。数年の遊学のつもりだったので「大変なことになったな」と思いましたが、これが30年近い海外生活の始まりとなりました。

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最終更新:5/18(土) 6:20
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