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石井龍夫 の 日本マーケティング私史 #6 ~未来編~:生活者がメディアになる時代

5/19(日) 7:10配信

DIGIDAY[日本版]

本記事は、元・花王デジタルマーケティングセンター長で、現在はC Channel 常勤監査役、Adobe エグゼクティブフェロー、株式会社イーライフ エグゼクティブアドバイザーを務める石井龍夫氏によるシリーズ寄稿です。

◆   ◆  ◆
前回の寄稿で私は、インターネットが「情報の民主化」を果たしたいま、マーケティングはパーソナライズに回帰すべきだと論じた。最終回となる本稿では、これからのメディアとマーケティングの関係はどのように変化して行くか、考えてみたい。

見たいときに、見たいものを

まず、近年の生活者のテレビメディアへの接触態度を見ていこう。以前、私の知人の娘が地上波の生放送のテレビ番組を見ているときに言ったそうだ。「パパ、なんで今日はコマーシャル飛ばさないの?」ハードディスクレコーダーで録画した番組を見ることが当たり前になっている世代である知人の娘にとっては、生放送の番組に挿入されるコマーシャルが飛ばせないのが不思議で、もどかしかったようだ。

また、私にはふたりの娘がいるが、彼女らのテレビ番組の見方も興味深い。夕食時、自分たちが以前から見たいと話していた番組のオンエア時間になったにも関わらず、先日録画しておいた番組を見ていて、チャンネルを変える様子がまったくない。あんなに見たいといっていた番組を、なぜ見ないのか聞くと、すでにハードディスクレコーダーに録画予約済みなので、いま見なくても良いのだという。食事のときに見る番組と、くつろいでいるとき、あるいは姉妹で一緒に見たい番組は違うのだそうだ。

要するに、彼女らにとってテレビの番組表は、見たい番組を選ぶためのものであって、その時間にテレビの前に座って番組を見るためのものではないのだ。自分の見たい時間に、見たいコンテンツを見ることが出来るのに、なぜ、放送時間に縛られなくてはならないのだという感覚である。

では、彼女らが録画視聴専門で、生放送を見ないのかというとそうではない。LINE LIVE(ライン・ライブ)も、ニコニコ生放送(通称・ニコ生)もよく見ている。つまり、ライブで見る価値があると認めたコンテンツは録画せず(あるいは再度見るために録画しながら)見るのだ。それが、今日の生活者のコンテンツ消費のあり方で、逆にいうと、急がしい現代の若者たちが、ライブで見る価値があると認めるテレビ番組が少なくなっていることこそ、問題であるといえよう。この問題が解決されなければ、今後、テレビ番組のコンテンツは、録りためたものをそのときの気分や、シチュエーションに合わせて消費されるものへと、変化していくだろう。

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最終更新:5/19(日) 7:10
DIGIDAY[日本版]

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