ここから本文です

ダルビッシュの上昇を支える新魔球「スラッター」を徹底解説

5/19(日) 6:01配信

SmartFLASH

「お股ニキ」。こんな名前の男が、あのダルビッシュ有(32)から、絶大な信頼を得ている。しかも、彼の野球論に共鳴して、変化球や投球フォームにまで、ツイッター上で助言をもらうというのだ。

 制球難から、不安定な投球が多いダルビッシュ。しかし、スラッターに関しては、要所に決まる制球力を見せる。お股ニキ氏も「それを軸にしたほうがいい」と語る。

 今回、お股ニキ氏が、故障からの復活を目指すダルビッシュの「上昇のカギを握る変化球」の秘密を明かしてくれた。



 今季ダルビッシュの投球で、抜群の威力を発揮しているボールがある。「スラッター」だ。このボールの被打率は.100前後、打者は60%程度しか、バットに当てることができず、空振りを繰り返す。バットに当たったとしても、ゴロが多い。

 さらには、メジャーリーグ全体で、このボールの有効性が浸透してきている。バーランダー(アストロズ)やシャーザー(ナショナルズ)、カーショウ(ドジャース)といったメジャーを代表するエースが、こうしたボールを使っており、もはや若手速球派の多くが、「投げて当然」のレベルだ。

 スラッターとは、カットボールをベースとした、いいとこ取りのボールだ。それを知るために、まずはストレートについて解説しよう。

 ストレートはその名前どおり、上下左右にまったく曲がらず、完全にまっすぐに進む……わけではない。ほとんどの投手のストレートは、少しシュート回転しながらホップする。

 右投手なら、投げた際に右斜め下に回転軸が傾いたバックスピンがかかり、そのような変化を生んでいる。人間はそれをストレートと認識している。

 その対となるのが、カットボールだ。元ヤンキースの伝説的クローザー、マリアノ・リベラが武器とした魔球である。通常、カットボールの変化は、利き手が逆の投手のストレートのような変化をする。

 140キロのボールで、ホームまでの到達が約0.4秒。打者はボールを最後まで見ているのではなく、途中からある程度のイメージや、過去の経験から軌道を予測して振っているので、このイメージや予測を上回ることができれば、投手は空振りや凡打が奪いやすい。

 カットボールは、右投手が「左投手のストレート」を投げるようなものだから打者のイメージをはるかに超えており、打ちにくいというわけだ。リベラが、カットボールを投球の大半に据えても、打者がなかなか打てなかったのはこのためだ。

 現代の野球ではデータ分析が進み、打者は、26度~30度の角度をつけた強い打球を打つことが理想の打撃とされ、ボールのやや下を打つようなアッパースイングが増えてきている。

 そのため、ストレートのようにバックスピンを強め、より上にホップさせると、バットがボールの下を通過しやすくなるため、空振りやポップフライが奪いやすい。

 また、今季はその高めのストレート対策のために、打者は高めを捨て、過度な打ち上げを少し変えて、低めに目をつけた対応をしてきている。

 そこで、大谷翔平の武器であるスプリットのように、ストレートと似たような軌道から落とすボールの有効性が、より高まっている。そもそも空振りしやすく、打ってもゴロになりやすい、強力なボールだ。

1/2ページ

最終更新:5/19(日) 7:09
SmartFLASH

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事