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バラの少年少女たちへ。~台湾、同性婚法制化への道のり~

5/19(日) 12:31配信

Wedge

「ことしパートナーと結婚式を挙げるから、ひかりさん出席してくれる?」

 台湾人の友人に先日こう聞かれ、飛び上がって手を叩きたいぐらい嬉しかった。彼女はレズビアンの当事者で、これまで台湾におけるLGBTQ事情について考えるとき、いつも相談にのってくれる心より愛すべき親友だ。それでもここ数ヶ月は、本当に無事に同性婚法制化が進むのか、ヒヤヒヤしてもいた。非常に保守的な側面もある台湾社会のなかで、同性婚に反対する人の少なくないことが、去年の国民投票で可視化されてしまったからだ。

「アジア初」の快挙

 2017年の5月24日にでた「同性婚を認めないのは違憲」とする台湾大法官の憲法解釈によって2年後、つまり今月の5月24日から民法もしくは特別法によって同性同士の婚姻が認められる事となった。しかし昨年11月の公民(国民)投票において、同性婚を支持しない民意が支持者を上回ったことを受け、特別法案が作られる運びとなる。
(参考記事:「同性婚反対」に傾いた台湾社会の矛盾)

 立法に向けて準備されていた草案は3つ。ひとつは行政院(内閣)の作成したもので民法にもっとも近い平等性を保障するが、その他2案はキリスト教系団体などからなる同性婚反対派の作成で、権利や保障内容はより限定的となっていた。

 それが、2019年5月17日の立法院(国会にあたる)における審議によって、27条ある項目すべてにおいて、現政権の出した法案が通過した。つまり台湾は、名実ともに異性婚とほぼ平等な形で同性婚の出来るアジア初の国家となったのだ。

 筆者も立法院そばで行われた支持者らによる集会に行ったが、涙を流してみんなが喜びあう姿をみて、思わずもらい泣きしてしまった。

 こうして、アジアでもっとも先進的な人権と平等性のありかたを世界に見せた台湾。縁あって長年暮らしている一人として、心より誇らしく思う。

イジメの犠牲となった「バラの少年」とは

 ここに至るまでの道のりが平坦だったわけでは、もちろんない。その陰にある多くの犠牲のうえに、積み上げられた大きな一歩である。

 例えば「バラの少年」と名付けられた、屏東県の中学生・葉永●(金へん+志)さんがいる。葉さんは学校で「女の子っぽい」という理由で長年激しいイジメを受けていたところ、学校のトイレで血の海のなかに浮かんで亡くなったのが、2000年のことだった。

 この事件を受けて台湾では、2004年より性的気質や性的指向を尊重する「性別平等教育法」が施行され、これによって「生物学的性別による平等思想だけでは問題が残ることを世に知らしめ」「同性愛などの性的マイノリティについても言及するようになった」(『台湾を知るための60章』赤松美和子・若松大祐 編著――第30章・性的マイノリティ運動/劉靈均)ことで、日本に比べてはるかに高いジェンダー平等性を実現するに至ったのである。

 この葉永●さんに関する記憶は、今回の同性婚をめぐる動きのなかで、新たな意義をもって思い返されることになった。例えば台湾の歌手ジョリン・ツァイ(蔡依林)は、昨年末の国民投票のあとに『バラの少年』という新曲を発表した。

 MVでは黒いスーツをまとったダンサーたちの中で、たったひとり黄色いスーツのジョリンだけが異質な存在だが、曲が進むにつれて皆がスーツを脱ぎ捨て、思い思いのスタイルに変化していく。

「誰かのために じぶんを変えないで」

「あなたは貴方 もしくは貴女 どっちでもいい」

「誰かが心をこめて 愛してくれるから」

 映像や歌の端々に固定概念を脱ぎ捨てて、自分と違う他者を尊重しようというメッセージが込められているが、これは葉永●さんに手向けられたと同時に、他人との違いに苦しむ思春期の少年少女すべてを勇気づけるための曲でもある。

 実際、昨年の国民投票で同性婚が否決された後にも、少なくない数の若者が、自らを社会に否定されたと感じて命を絶ったといわれる。今年に入ってからも、セクシャリティが原因でイジメに悩んでいた高校生が建物上階より飛び降り、一命は取り留めたものの、両足を複雑骨折して後遺症が残るかもしれないという報道があった。

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最終更新:5/19(日) 12:31
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