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「やっぱり、ゴルフは素振りに尽きる」――ジョン・ボール

5/19(日) 6:05配信

幻冬舎plus

素振り1時間、ボールを打つのは30分

彼のあとに大活躍したボビー・ジョーンズの印象が強烈すぎるせいか、ジョン・ボール(John Ball)の名前はゴルフ史にあくまでひっそりと刻まれている。内気ではにかみ屋だった彼にしてみれば、地味に扱われることは望みどおりだったのかもしれない。

それでも英国人にとってジョンは、抜群の好感度とともに知られる偉大なアマチュアゴルファーなのだ。

その戦績はというと、全英アマに8回優勝、最後のタイトルはなんと50歳のときだった。さらにアイリッシュ・アマチュア・オープン3回、ロイヤル・セント・ジョーンズ杯4回優勝とすばらしい。

とくに1890年の全英オープンは、過去29回行われてきた同大会の勝者がすべてスコットランド人だったなか、歴史上初めてイングランド人として優勝し、国民的英雄となった。

さて、ジョン・ボールがゴルフに出会ったのは8歳のとき。大人のプレーを間近に見る機会があって、たちまちこのかすかな狂気を含むゲームに異常な関心を持ってしまった。

その日以後、素振りを1時間、実際にボールを打つのは20~30分という、かなりの忍耐力を必要とする練習を休まず繰り返したという。

子どもは自分が好きと思い込んだことには、大人があきれるようなことでも根気強く取り組むものだが、ジョンにとってそれは素振りの練習だったようだ。

「ボールを置くと、打つことばかりに熱中して肝心のスウィングがわからなくなる。スウィングさえ正しければ必ずいい結果が得られるのがゴルフ。ボールは素振りの仕上げに少しだけ打てばいい」―― ”The Complete Golf” がジョンの信念だった。

はにかみ屋のジョンは、素振りでいい感触を得たとき、実際にボールを打ってどのような球筋が出るのかをオタクのように研究していたと思われる。

あるとき、素振りでひらめくものがあって、それまでのクローズドスタンスを大胆に変えてみた。

当時はリンクスの強い風を避け、ランで距離を稼ぐのが常識の時代。クローズドスタンスでフラットなスウィングプレーン、球筋は低いフックボールが主流だった。ところがジョンはそのまったくの逆、オープンスタンスでアップライトなスウィングを試してみたのだ。

すると素振りで得た感触のとおり、高い弾道の球筋を打つことができた。それまでのゴルフとはまったく違う、ピンをデッドに攻める攻撃的なゴルフで成績を上げたのだ。

アップライト・スウィングといえばジャック・ニクラス、ジョニー・ミラー、トム・ワトソンなどが有名だが、いまから100年以上も前にジョン・ボールが体現していたとは驚きだ。

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最終更新:5/19(日) 6:05
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