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所有アパートで入居者が「孤独死」…オーナーはどう対処する?

5/19(日) 10:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

賃貸借契約の終了を「相続人全員」に通知する

オーナーが交渉を行うべき相続人とは誰なのでしょうか。通常は、亡くなった入居者の親族が亡くなっている入居者を発見するでしょうから、まずは親族の方と話し合いを行うことになるでしょう。

ただし、入居者の子が何人かいるなど相続人が複数いる場合には、その全員に対して賃貸借契約の終了を通知する必要がありますので注意が必要です。

また、入居者の方が多額の借金を抱えていたような場合には、相続放棄を検討している相続人がいることもあります。そうすると、相続人が少なくとも相続放棄をするかどうかを検討している間は、賃貸借契約を終了させることができません。その間の賃料の支払も宙ぶらりんとなってしまうでしょう。

さらに、相続人全員が相続放棄をした場合、相続人がいないという事態になってしまいます。この場合に賃貸借契約を終了させるためには、家庭裁判所に「相続財産管理人」の選任を求めなくてはなりません。

また、家庭裁判所への申立の費用だけでなく、未払いの賃料や原状回復費用も全てオーナーの負担となってしまいますので、非常に大きなリスクとなります(なお、未払いの賃料や原状回復費用は連帯保証人に請求することができます)。

オーナーは「特別な清掃費用」を請求できるのか?

物件内で孤独死があった場合、最も頭を悩ませるのは原状回復ではないでしょうか。しかし、居室内に残されたものは入居者の遺産となりますので、オーナーが勝手に部屋を片付けてしまうことはできません。入居者の親族などの相続人には、できるだけ早く対応してもらうように依頼する必要があります。

また、賃借人の遺体の発見が遅れると、居室内の状態もどんどん悪くなり、フローリングや壁紙の張り替えなど、特別な清掃が必要になることがあります。その際、オーナーは相続人や連帯保証人に対し、特別な清掃費用まで請求することができるのでしょうか。

居住用建物において賃借人が退去時に原状回復を行う範囲については、通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗及び賃借物の経年変化を除き、賃借人の故意または過失によって生じた損耗であると考えられています。

そこで、孤独死による居室内の汚損が、賃借人の故意または過失によって生じた通常の使用収益の結果を越えるものであると言えるかが問題となります。

多くの場合、賃借人は自然死したものであり、そこに賃借人の故意や過失は存在しません。また、死後長期の間発見されなかったことにも、賃借人に落ち度はありません。このため、原状回復のために特別な費用が必要になったとしても、賃借人側がその費用を負担する必要はないと考えられています。

オーナーとしては、清掃の遅れによる損害の拡大を回避するためにも、必要最低限の清掃については早めに着手すべきであると言えるでしょう。

居室内で孤独死があった場合、次の入居者の募集に影響が出ることが考えられます。すなわち、周囲で噂が広まり、なかなか次の入居者が見つからなかったり、賃料を減額しなくてはならなくなったりするケースです。

このような場合、オーナーから賃借人の相続人や連帯保証人に対して、次の入居者が見つからなかった期間の賃料相当額や減額された家賃相当額を、損害賠償として請求することができるでしょうか。

損害賠償請求が認められるには、その損害が賃借人の故意または過失によって生じたものである必要があります。しかし、原状回復の項でも述べたとおり、賃借人が死亡したことについて、賃借人に故意や過失はありません。

したがって、賃借人の相続人や連帯保証人に対する損害賠償請求は認められないのが一般的です。

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最終更新:5/19(日) 10:00
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