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ドナルド・グローヴァーの成功を支えたクリエイティヴチーム「Royalty」独占取材

5/19(日) 15:00配信

Rolling Stone Japan

チャイルディッシュ・ガンビーノの次回作がプロジェクト最後の作品になることは度々噂されてきたが、それは単にチャイルディッシュ・ガンビーノという名義の終わりという意味かもしれない。あるいは、ドナルド・グローヴァーが音楽活動を辞めるということだろうか。長年ガンビーノのマネージャーを務めてきたマネージャー、ファム・ウデオルジはこの件に関して頑なに口を閉ざし、真意を一切明かそうとしない。

写真1点:ドナルド・グローヴァーの成功を支えたクリエイティヴチーム「Royalty」独占取材

「煽りたがる人の気が知れないよ」と本人。「これで終わりだっていうのにさ。『ゲーム・オブ・スローンズ』みたいに騒ぎ立てたり、ガンビーノ・アイスクリームをやる必要もなかろうに」

さらに彼はこう続けた。「誰でも人生のある時期に、その時のタイミングでハッと閃くときがある。ある特定の時期に、ある特定の考えが生まれる瞬間。アルバムに関して言えば、俺たちはずっと手探り状態だった。誰でも好きなことを気軽にできる時代に、特別なことをするにはどうすればいいんだろうってね」

挑戦的で、つかみどころがなく、知的な集団。それが「Royalty」だ。

「Royalty」はドナルド・グローヴァーの数々のプロジェクトを陰で支えるチーム。ファム・ウデオルジ、ステファン・グローヴァー、イブラ・エイク、ジャマル・“スワンク”・オロリ、チャド・テイラー、マイルス・コンスタンティンは、過去7年間かけてアーティスティックなアイデアを形にしては世に送り出し、自らの手でビジネスを切り拓いた。

彼らはチャイルディッシュ・ガンビーノのミックステープ(『Royalty』『STN MTN/ Kawai』)とアルバム(『Because The Internet』『Awaken, My Love!』)を手がけた。またタイアップでは、Google、Amazon、Spotify、Adidasと手を組んだ。FX向けに制作したテレビドラマ『アトランタ』は批評家の間でも高い評価を受け、商業的にも大ヒット。すると今度は、TVや映画業界中から引っ張りだこになった。

ドナルド・グローヴァー人気は今のところ落ち着いているが、2010年代初期のラップブログの世界から生まれたグループにとって、こうした出来事はヒョウタンから駒、まったく予想外のことだった。ローリングストーン誌は、コーチェラ・フェスティバルでヘッドライナーを務めるガンビーノのステージの数時間前にRoyaltyの6人のメンバーに直撃取材。成功の秘訣を語ってもらった。

ことの始まりは2012年。その名もずばり『Royalty』というガンビーノのミックステープ製作中のことだった。このとき、ドナルドの弟ステファンがスワンクと大学で出会い、友人となった2人はアトランタでミュージシャンを目指してひそかに作品作りに励む。そのときの作品が、のちに人気テレビドラマの脚本家としての才能に大いに生かされることになるのだ。「音楽業界を攻略しようと奮闘していた俺とステファンの人生は、まさに『アトランタ』そのものだよ」とスワンク。「あれが全部元ネタになっているんだ」。そこへドナルドが現れ、ロサンゼルスで一緒に音楽制作をやらないかと2人を誘う。そこから最終的に『Royalty』が完成した。3人はイブラと出会い、彼が事実上のアートディレクターとなった。そしてファム。彼はグループの戦略面を担当することとなった。

「ちょうどMMG(メイバック・ミュージック・グループ)やYoung Moneysが出てきたころだった。この手の集団が流行っててさ」とスワンク。「俺たちも名前が必要だという話になって、それでRoyaltyになったんだ」

自称ロイヤルファミリー(=Royalty)の彼らは、大衆にウケる作品を作り出す。それが巨額の金を生む。それが今度は不安を掻き立てる。おそらく彼らが感じている不安とは、アメリカにいるという単純な事実。それも、資本主義や黒人主義の共存が問われる時代にアメリカにいるという不安。これは彼ら代表作に一貫して見られるテーマだ。『アトランタ』しかり、『Awaken, My Love!』しかり、「ディス・イズ・アメリカ」しかり、映画『Guava Island(原題)』しかり。

「Royaltyのメンバーとして俺たちがよく話している話題だ」とステファンは言う。「ニプシー・ハッスルとか大勢の人たちにとって、これがアメリカの資本主義なんだと思う。年月が経つにつれ、人々は取り残されてしまった。でも同時に、そこには自分を高める力もある。使い方さえ心得ていればね。資本主義とか、資本主義と黒人の関係ということが俺たちには興味深いんだ」

「結局アメリカン・ドリームとは何か。こんなこと誰も教えてくれないし、後々になってようやくわかることだけど、全員がアメリカン・ドリームを実現することはできないんだよ」とスワンクは言う。「誰かリッチになる奴が出てくれば、別の誰かが貧乏にならざるを得ない。仕方ないけど、それが現実さ」

2012年以来グループは確固たる地位を築いたものの、仕事は流動的なままだ。誰がリーダーとははっきり決まっていないが、たいていファムがグループ全体の意思決定や経営戦略(うまい言葉が見つからないのでこう表現するしかないが)の語り役を買って出る。「各々の個性やスキルセットを理解」して、そうした強みをより大きなものに「変換」しようとしているのだ、と言う彼の言葉の端々には、「消費、誠実性、アンチブーム、覚醒」といったキーワードが散りばめられている。

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最終更新:5/19(日) 15:00
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