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リーグ・アンでもマルセイユは別格!OMの元名物会長タピを巡る壮絶秘話。

5/19(日) 11:01配信

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 マルセイユは特別だとフランス人たちは言う。

 フランスで唯一の本物のサッカーの街。ナポリやバルセロナと相通じる熱さがマルセイユにはある、と。そうであるからこそこの街のクラブ「オリンピック・マルセイユ(OM)」は、マルセイユという地域の枠を超えてフランス全土で支持されている。同じビッグクラブでありながら……どこか醒めた目で見られているパリ・サンジェルマン(PSG)との違いが、そこにある。

 そのマルセイユが最も熱かった時代が、ベルナール・タピが会長を務めた時代(1986~94年)だった。社会党の代議士にしてヨーロッパ・アディダスのオーナーでもあったタピのもとでリーグ4連覇、'93年には悲願のチャンピオンズリーグ初優勝も成し遂げた。

 だが、栄光は突然に終わりを告げる。'93年5月20日におこなわれたバレンシエンヌ戦での不正工作が発覚し、そのシーズンのリーグタイトルを剥奪されたのだ(ちなみにこのときバレンシエンヌの監督であったボロ・プリモラツは、アーセン・ベンゲルに庇護されベンゲル監督下の名古屋グランパスでアシスタントコーチを務め、その後も2018年5月までアーセナルのコーチとして働いた)。この時、チャンピオンズリーグの優勝記録は残されたが、その優勝クラブとしての活動は制限されてもいる。

 この4月18日にフランスで一冊の本が刊行された。アレクサンドレ・フィーベの著作による『OMのロッカールームにて』(ウーゴ・スポール社刊)は、タピ会長時代のOMを当事者や関係者の証言で再構築している。『フランス・フットボール』誌4月16日発売号では、その中から幾つかの興味深いエピソードを紹介している。

 監修:田村修一

「一緒に国民戦線と戦おう!」

 1988年6月2日、ジョセフアントワーヌ・ベル(元カメルーン代表GK、国際サッカー歴史記録学会によりアフリカサッカー史上最高GKに選出される)が次のシーズンにマルセイユを離れることが明らかになった。

 「ベルナール・タピと一緒にやっていくことは不可能だ」とベルは語っている。

 「彼が何を言いたいのか、本当は何をしたいのかを理解するために、常にすべてを分析する必要があるからだ。それに彼もまた私に対して心底うんざりしていたと思う。彼にとって私は厄介な存在になりつつあったからだ。だから私に出て行って欲しかったのだろう。

 ただ、それで厄介ごとを起こしたくない。というのも彼はもともと政治の世界の人間であるからだ。あるときこう言って行動を共にしようと私に呼び掛けてきたことがあった。『一緒に国民戦線(極右政党)と戦おう! 』と。だがその一方で、彼の態度や言葉はときに曖昧だった。私が思うにはタピは信念の人ではない。彼に信念があるとしたら……それは『タピという存在そのもの』ということなのだろう」

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最終更新:5/19(日) 11:01
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