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【競泳連続写真:伝説の技術】ナタリー・コグリン(米国/女子背泳ぎ)

5/20(月) 8:01配信

ベースボール・マガジン社WEB

2000年代、女子100m背泳ぎで一時代を築いたナタリー・コグリン(米国)。ひときわ目を引いた大きなストロークが特徴で、速いキャッチからのIストロークで水面を進むスピードは群を抜いていた。得意のバサロ泳法も含めて彼女の強さをひも解いてみる。

連続写真:コグリンの背泳ぎ(2007年世界選手権より)

※本記事は「スイミング・マガジン2007年11月号」掲載内容に、加筆・訂正したものです。

※連続写真は上段左から1~6、下段左から7~10。写真をクリックして、身体全体の動きを御確認ください。

特徴的なキャッチとストローク 泳ぎを支える体幹の強さ

 ナタリー・コグリンの印象は、ほかの選手と比べてストロークタイムが長い、いわゆる大きな泳ぎです。中でも特徴的なのはキャッチとストロークの部分です。

 コグリンのキャッチは入水前から水をつかむことを意識し(写真A)、着水したら水面から浅い位置で素早く水をとらえ、そこから身体の軸に沿うように足方向へプッシュしています(Iストロークという言い方をしたりします)。昔は手を、半円を描くようにして水面からより深い位置でキャッチしてからプッシュする、横から見ると大きなS型の軌道でした。そのぶん身体のローリングが大きく、見た目には身体の中心線(頭上から股までを結ぶ線)に近いところでストロークが行なわれていました。ただしコグリン、または現在のほかのトップスイマーも同様ですが、手の軌道の関係もありローリングが小さいため、極端にいえば、腕だけ回しているように見える泳ぎなのです。リカバリーの際、肩が先に水面に出てくるのではなく、手が先に出てくる印象を受けるのがその証拠です。2007年メルボルン世界選手権決勝の泳ぎを見ていただければ、一目瞭然です。

 これは4泳法を通じて言えることでもありますが、現在の競泳界はキャッチをより早くすることで、泳速に反映させている傾向があるといえるでしょう。ボートにたとえれば、オールの軌道を大きくしてより遠くで水をとらえ、そこから思いきり引いていたのが、今は水を力強くとらえ、ガンガン進んでいくといった感じでしょうか。

 それは腕の力があればいいというものではありません。クロールでは自分の前方向で手かきを行ないますが、背泳ぎは後ろ方向に回すため、背筋が大きなポイントとなります。コグリンはその背中の筋力があり、使い方もうまいのです。

 キックに関しては、ローリングが小さいぶん、ボディポジションが水面に対して比較的並行で、蹴る方向のブレも少ないと思われます。つまり長いストローク長(1ストロークで進む距離)を維持するために無駄のないキックを打てています。

 こうしたコグリンの泳ぎは、体幹(コア)の強さがあるから実践できるものです。水泳はただ、手と足のみ動かせばいいというわけではありません。身体の芯から手足を動かす感覚を持っていないと泳速を上げることにつながりません。フラフープを思い浮かべていただけるとわかりやすいかもしれませんが、うまい人ほど身体の軸がそれほど動いていないように見えるのと同じ意味です。水に力を確実に伝えるためにはコアの強さが影響してくるのです。

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最終更新:5/20(月) 8:01
ベースボール・マガジン社WEB

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