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元気な職場づくりのヒントはデータが教えてくれる フジクラが進めるデータドリブンな健康経営とは

5/20(月) 7:32配信

日本の人事部

組織の生産性や企業価値の向上を目指し、健康経営に取り組む企業が増えています。しかし、施策が自社の健康課題にフィットしているのか、企業の生産性につながっているのかなどの検証に悩む担当者も少なくありません。電気通信関連機器メーカーのフジクラでは、プログラムの立案から効果測定まで、社員の生体情報や活動量などのデータに基づく仮説と検証を繰り返してきました。データ収集と解析の徹底で独自の施策を打ち出す同社の健康経営のキーパーソンが、CHO補佐を務める浅野健一郎さん。取り組みの背景や分析の進め方、評価の方法など、従業員が元気に働ける環境づくりに向けたデータ活用のポイントを、浅野さんにお聞きしました。

モニタリング・モデリング・介入の3ステップを繰り返す

――健康経営を始めたきっかけを教えてください。

きっかけとなったのは、2008年ごろから社内横断的に行われていた、若手管理職たちによるプロジェクトです。私も、そのプロジェクトの一員でした。フジクラは130年以上の歴史ある会社で、光通信やケーブルシステムなど、国内の通信インフラの普及に伴って発展を遂げてきました。しかし社会が成熟し、国内需要も頭打ちとなる中で、新たな市場開拓が求められるようになりました。第三の創業期ともいえる時期に差しかかっていたのです。

「グローバル化や新規事業を展開するうえで必要なこと」を議論する中で、まず大事なのは社員が元気であることだという結論に至りました。活き活きと仕事に打ち込めなければ、新たなチャレンジは生まれません。そのため、会社として社員の元気をサポートしようと考えたのです。こうした考えから、2011年に健康経営を担う専門組織、「ヘルスケア・ソリューショングループ」を立ち上げ、さらに2013年末には「フジクラグループ健康経営宣言」を発表しました。


――随分早くから、社員の「健康」に着目されていたのですね。

一連のプロジェクトを開始する頃は、まだ「健康経営」という言葉が広く知られていませんでした。しかし、ここで注意してほしいのが、フジクラの取り組みが「社員を元気にする方法を考えよう」という視点から始まっているということ。「健康経営」というと、従業員の疾病の予防や治療を企業がサポートする福利厚生施策のように受け取られがちですが、本来の目的は違うはずです。

私たちは「健康」の定義として、WHOが定めている「肉体的、精神的および社会的に満たされた状態であり、単に疾病または病弱の存在しないことではない」という考え方を基準にしています。この定義から考えると、「病気にならないこと=健康」ではありません。

もちろん、病気をせず、できる限り健康であることが望ましいのは確かです。病気になると不安に駆られて、元気がなくなってしまうこともあるため、企業としてサポートすることも必要でしょう。しかし本当の意味での健康経営とは、いかにして従業員に活き活きと働いてもらうかを考えることだと思います。それを追及することは、企業の業績にも直結します。弊社が従業員の「健康」に向き合いはじめたのは、こうした思いがあったからでした。


――実際には、どのような取り組みを行われたのでしょうか。

2013年より、個人の健康データをもとに健康活動を効果的に支援する「フジクラグループ健康増進プログラム」を開始しました。取り組みにあたって意識したのは、三つのステップです。

最初のステップは現状把握のための「モニタリング」。データを収集し、いろんな観点から解析します。まずは従業員が元気に働けていない理由を、データから探ろうと考えたのです。次のステップは「モデリング」です。モニタリングの結果見えてきた課題がどのような経緯で生じているのかを、アカデミックな統計資料なども用いて、仮説を立てていきます。そして最後のステップが「介入」で、具体的な健康増進の施策を考えます。基本はこの三つのステップを繰り返しています。

データは社員の同意のもと、健康と関連すると思われるものは何でも集めています。健診データをはじめ、活動量計による歩数の情報、また社内に計測器を設置し、体重や体脂肪率などの体組成に疲労度やストレス度の目安となる心電図、脳波なども測れるようにしています。さらに、希望者に提供しているプログラムの中には、食事の記録などの生活行動に関するデータ、また遺伝子検査や睡眠時間や眠りの深さなどのバイタルデータを記録するものもあります。これらも収集対象です。

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最終更新:5/20(月) 7:32
日本の人事部

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