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元気な職場づくりのヒントはデータが教えてくれる フジクラが進めるデータドリブンな健康経営とは

5/20(月) 7:32配信

日本の人事部

データ解析から見えてきた事業所別の課題

――実際には、どのようにデータを活用しているのでしょうか。

一例をご紹介しましょう。まず、今のフジクラにおける生産性低下の最大要因は、「活動量不足」にあると考えています。こう考えるきっかけとなったのは、社員アンケートの結果や活動量の記録から、生産性の低下と活動量との間に一定の相関関係があると分かったことでした。

しかしこの結果から、「活動量を増やすことが生産性向上につながる」と断言することはできません。分かったのは、あくまで両者に相関があるということだけ。直接的に影響があるのかを判断できないからです。

そこで学術論文や公的機関の統計データなどを調べ、仮説の正当性を検証しました。過去の調査(※)を見てみると、循環器疾患やがんなどで死亡した人の外因の1位は禁煙で、次に高血圧、運動不足と続きます。高血糖やアルコール摂取、肥満よりも、運動不足を理由に大病を患い、命を落とす人が多いことが分かります。

(※)「2007年の我が国における危険因子に関連する非感染症疾病と外因による死亡数」
 厚生科学研究:我が国の保健医療制度に関する包括的実証研究

ここで社内に視点を戻すと、活動量不足が健康度の低下、すなわち「活き活き度」の低下につながり、生産性低下を招いていることは十分に考えられます。では、活動量不足の改善にあたって、何を重点的に強化すればいいのか。それを探るため、各事業所で運動機能調査を行いました。


――どのような調査を行ったのでしょうか。

健康診断と同じタイミングで、「握力」「閉眼片足立ち」「立位体前屈」「垂直跳び」の4種類のテストを行いました。参加は強制せず、希望者のみに実施しましたが、それほど大変なものではないからか、ほとんどの人が参加してくれました。この結果を事業所別に分析し、男女比や年齢構成などを調整したうえで、度数分布を厚労省が調査した正規分布(全国水準)と比較することにしました。

それぞれの度数分布には、事業所ごとの特徴がよく表れていました。東京の深川事業所と千葉の佐倉事業所の結果を見てみましょう。どちらの事業所も、デスクワークが中心の職場です。

まずは「握力」。これは全身の筋力と相関があるのですが、両事業所とも全国の傾向とほぼ同じでした。続いて「閉眼片足立ち」です。この結果からは、バランス感覚が分かります。結果は両事業所とも似ていて、全国平均と比較すると若干衰えが見られました。バランス感覚をつかさどるのは三半規管で、数値が低いのは体の疲れが関係しています。睡眠不足や長時間労働などがないか、さらに掘り下げて調べてみてもいいかもしれません。

注目してほしいのが、「30秒立ち上がり検査」の結果です。佐倉事業所の数値は同じデスクワークの深川事業所や全国水準と比較しても、大きく下回っていました。この検査は足腰の強さを測定する検査なので、佐倉では足腰の衰えを改善させるプログラムが必要だと分かります。では、どうして佐倉は他に比べて足腰の弱い人が多いのか。その理由は通勤手段にありました。立地上、マイカー通勤の人が多いのです。


――日頃の生活習慣が、運動機能に如実に反映されるのですね。

実際に佐倉で働く人たちの活動量を、深川事務所の人と時系列で比べてみると、朝や夕方の活動量が少ないことが明らかになりました。深川の人たちは電車通勤の人が多く、立ったり歩いたりと通勤時に体を動かしているのです。

さらに調べてみると、佐倉は深川と比べて転倒災害が多いことが分かりました。足腰が弱ると足が上がらなくなるので、ちょっとした段差でもつまずきやすくなります。つまり佐倉事業所では、活動量不足が足腰の弱さに表れ、業務中にも影響が出ていることが判明したのです。佐倉は深川に比べて社員の平均年齢も低いので、これは驚くべき結果でした。

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最終更新:5/20(月) 7:32
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