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フランスのeスポーツを追う(4)「ゲーム=遊び」ではない奥深さ

5/20(月) 11:02配信

footballista

フランスの「eSports」事情についてお伝えするミニ連載。人気ゲームソフト『FIFA』の大会をレポートした第1回、そこで活躍するeスポーツ選手のインタビューをお送りした第2回、PSGのCGO(チーフ・ゲーミング・オフィサー)に話を聞いた第3回に続いて、最終回となる第4回はフランス全体の現在のeスポーツ事情をまとめた。

文 小川由紀子

プロ選手の現役寿命は24~27歳

 現在、フランスにいるプロのeスポーツ選手はおよそ400人。年齢層は17~24歳が中心で、24~27歳あたりでキャリアを終える選手が多いという。

 プロになると、大会でプレーする以外にも、日々のトレーニングや、他の人のゲームを見たり、対戦相手の分析といったトーナメントの準備等、1日に12、13時間をゲームに費やす選手も多く、集中力だけでなく、肉体的にもかなり要求が厳しいため、そのくらいの年齢で限界を迎えてしまうのだ。また手首を痛める、視力が低下する、というのはよくある職業病だそうだ。

 PSGのように、現役生活が終わったあとも、コーチなど選手のサポート役としてチームに残れる人材を最初からリクルートするプロクラブもあるが、1年契約で成績に応じて更新、という実力主義のクラブもある。しかし多くのプロ選手は、現役引退後もコメンテーターや指導者として、ゲーム関連の職に残る道を模索している。

 日本ではまだ、eスポーツプレーヤーは、それほど広く職業として認知されていない。フランスでも以前は、「ゲーム=遊び」と捉えられていたそうだが、いまでは職業アスリートとして認知されるようになった。

eスポーツ選手もアスリートである

 個人的には、アスリートの定義とは、肉体の鍛錬を極めることにあると思っているが、前回で話を聞いたPSGのCGOヤシン・ジャーダ氏は「eスポーツプレーヤーもアスリートである」と断言していた。

「最高峰の競技者の一角として競技に参加し、最高レベルの選手と対戦する、というのがアスリートの定義なら、まさにあてはまっていますからね。またそこに向けてトレーニングするという点でもアスリートです。肉体を鍛えるわけではないですが、脳も肉体と同じくらい重要だと思いますから、十分にアスリートと言えると思います」

 フランスのeスポーツプレーヤーの平均的な収入は、『FIFA』のトッププレーヤーで月給が5000ユーロ(約62万円)ほど。加えて賞金や、ストリーミングから得られる収入がある。一番収入が高いのは、『Dota 2』や『リーグ・オブ・レジェンド』だ。

 PSGチームは、昨年の『Dota 2』世界大会で初参戦にして決勝に進出し、ファイナリストとして400万ドル(約4億3800万円)の賞金を獲得した(優勝者は欧州選抜チームで獲得賞金はなんと1100万ドル!)。

 ちなみにPSGのような団体に所属しているプロ選手の場合、賞金はクラブ、コーチ、選手で分配する。

 ビジネスモデルもより発展してきていて、ゲームメーカーが専用のアリーナを建てて、チケットセールスやグッズ販売などからも収益をあげるというスタイルなどは、まさにスポーツと同じだ(なんのグッズ? と突っ込みたいところだが、人気プレーヤーのネーム入りTシャツなどは飛ぶように売れるのだそうだ)。

 そうしたイベントでは、チケット入手も非常に困難で、3月に行われた『Dota 2』のスウェーデン大会では、3000席のアリーナが、わずか6時間で完売したそうだ。

 アジアでは、道を歩けばあっという間に囲まれてしまう人気プレーヤーもいる。ネイマールやムバッペがパリの街を歩くような感じだが、実際、フットボール選手よりも多くのファンがいるeスポーツ選手も大勢いるという。

 PSGの『Dota』チームが上海でサイン会をやったときも、400人ほどの来場を見込んで2時間を予定していたら、10倍近い3000人も集まって大変なことになったらしい。中でもスーパースターの『FY』というプレーヤーは、彼がゲーム中に良いムーブをすると、会場から「FY ゴッド!」というお決まりコールが巻き起こるそうだ。

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最終更新:5/20(月) 11:02
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