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辛坊治郎 「大阪万博が世界に“披露すべきもの”はたった1つ」

5/20(月) 11:54配信

PHP Online 衆知(Voice)

2025年に再び大阪で万博が開催される。関西を長年ウォッチしてきた辛坊治郎氏は、「万博は人生の原点」と語る。夢の祭典でいかなる展示が展開されるのか。

月刊誌「Voice」6月号では辛坊氏の大胆予測が展開されている。ここではその一部を紹介する。(聞き手:編集部<中西史也>)

※本稿は月刊誌『Voice』(2019年6月号)、辛坊治郎氏の「本格始動した大阪都構想」より一部抜粋・編集したものです。

愛・地球博は失敗だった

――2025年には、松井一郎・吉村洋文両氏が推進してきた国際博覧会(万博)が大阪・関西で開催されます。1970年にも大阪で万博が行なわれましたが、辛坊さんにとって万博はどういった祭典でしょうか。

【辛坊】 私にとって万博は人生の原点であり、とにかく大好きなイベントです。1970年の大阪万博のときに私は中学2年生で、万博会場近くの親戚の家から通い詰めていました。こんなに面白いものが世の中にあるんだ、と感動したものです。

日本で行なわれる本格的な国際博は、2025年の大阪・関西万博で3回目です。過去2回は1970年の大阪万博と、2005年の愛・地球博。

1970年当時はネットがなかったので、現地に行って実際に展示を見ることに意味がありました。しかしいまは、ネットで何でもすぐに検索して、世界中の動画が見られる時代。わざわざ足を運んで何かを見ることの価値は薄れています。

その時代の流れを捉えていなかった意味で、2005年の愛・地球博は失敗だと思っています。

ある世代以上の日本人の多くが、1970年の大阪万博のテーマを「人類の進歩と調和」と答えられる一方、2005年の愛・地球博のテーマ「自然の叡智」を覚えている人がどれだけいるでしょうか。

このままでは2025年の万博も、時代遅れの祭典として終わってしまう可能性があります。

人間の「生きた心臓」が見られる?

――2025年の万博を日本にとって意義のあるイベントにするにはどうすればよいでしょうか。

【辛坊】 いまの日本が万博で披露すべきはただ1つ。全世界に比べて圧倒的に進んでいる生命科学、iPS細胞(人工多能性幹細胞)です。

幸い、2025年の大阪・関西万博の招致では、山中伸弥教授(京都大学iPS細胞研究所所長)が特使として活動していました。

山中教授によると、iPS細胞から心臓や肝臓などのすべての臓器が作製できる時代が近々来る、というのです。あとは細胞を立体的に組み上げて臓器をつくる段階まで、技術は進歩している。

これは私の希望でもありますが、2025年の万博では、iPS細胞からつくった生きた心臓を展示してほしいと思います。

1970年大阪万博の展示の目玉は、ガラスケースに入った月の石でした。アメリカのアポロ計画で持ち帰られた月の石を見るために、じつに6000万人が大阪・千里の丘陵に訪れたわけです。

人間の心臓は、いまの世の中でも「自分の目で見たいもの」になるでしょう。動画で見るのと現地で見るのとではおそらく感じ方も違う。

また日本の法律では、臓器移植のときは脳死が人の死と認められますが、それ以外は心臓が止まる心停止が基本です。では、展示されている動く心臓は生きているのか、生命ではないのか。

物議を醸す展示にはなるでしょうが、「生命とは何なのか」という人間の根源的な問いを提起する契機になるのではないでしょうか。2025年までの6年間でさらに技術が進み、世界があっと驚く展示を見られることを期待しています。

辛坊治郎(大阪綜合研究所代表)

最終更新:5/20(月) 11:54
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