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「不機嫌な猫」の死と、牧歌的なインターネットの終わり

5/20(月) 8:11配信

WIRED.jp

2012年の米国は、オバマ大統領の任期半ばだった。最初の『アベンジャーズ』が公開され、『ハンガー・ゲーム』が封切られていた。希望に満ちていて、インターネット掲示板のRedditでは、かわいいペットがいる人なら誰でも何千もの“票”を獲得していた。猫がいちばん人気で、たまに犬が1件か2件入り込むといった時代だったのだ。

その猫のポートレートは、「インスタ映え」の本質を教えてくれる

そんな年の9月、ブライアン・バンデセンが、妹タバサの猫の画像を投稿した。「タルダル・ソース」と名づけられた11カ月のぶち猫で、小猫症を患っていることから年中不機嫌に見える猫だ。インターネットは、この“グランピー・キャット(不機嫌な猫)”に夢中になった。

時代の“アヴァター”だった猫

それが当時のSNSの様子だった。大流行していたミーム(人から人へと伝わる情報や行動)は、タルダルやリル・バブなどのおかしな顔をした猫たち、モホーク・ガイ(モヒカン刈りの男)、そして「コール・ミー・メイビー」といったものだった。ミームはまだ時代を変革するレヴェルの“大衆兵器”とまではいかず(2016年のレヴェルに達するのはまだ先だった)、それでもトロール(荒らし)の意味は知られていた。

そしていま、グランピー・キャットが死んだ。飼い主がTwitterで報告したのだ。グランピー・キャットの死と同時に、ひとつのインターネットの時代が終わった。インターネットが「憎悪」ではなく「喜び」であり、「嫌がらせ」ではなく「応援」だった時代が終わりを告げたのだ。

もちろん、これはグランピー・キャットだけの話ではない。ほかの多くのミームや動画、動物たちも、2000年代初頭のインターネットにおいて一定の存在感をもっていたのだ。

しかし、それ以前の多くのポップスターたちのように、グランピー・キャットは時代の“アヴァター”でもあった。1匹の猫がネットで広く成功を収める存在になり、大規模イヴェントである「サウスバイサウスウエスト(SXSW)」でホットな話題になった時代なのだ。

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最終更新:5/20(月) 8:11
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