ここから本文です

「不機嫌な猫」の死と、牧歌的なインターネットの終わり

5/20(月) 8:11配信

WIRED.jp

害のない笑いに満ちていたインターネット

当時のネット掲示板「4chan」は不穏な感じも漂う場ではあったが、笑いに関しては害のないものだった(少なくともそう見えた)。 12年やそれ以前の時代、インターネットはその中心的なテーマとして、みんながおかしな動画を見たり、ヒラリー・クリントンのホームページ「テキスト・フロム・ヒラリー」を読むための場所を提供していた。

当時の大統領候補たちが放った最も“性的”といえる発言は、「女性がつまったバインダー」のような大失言だった。いまでは動画は主にスポンサー付きのコンテンツになり、ヒラリー・クリントンのミームはもうおかしくもなんともない。そして、それが彼女の大統領選挙の足を引っ張ったのかもしれない。

(悲しいことに)グランピー・キャットの死は、ウェブサイト「YTMND」の閉鎖とも時期が重なった。YTMNDは、Redditやミームの記録サイト「Know Your Meme」と同様に、少し前までは人々がこぞってオンラインに楽しみを求める場だった。誰もが笑いを共有するために出入りしていたのだ。

そんな時代は、もうやってこない

“チャレンジ”といえば、氷水をかぶる「アイス・バケツ」や「江南スタイル」のようなものだった。洗濯用洗剤の「TIDE PODS(タイドポッズ)」を食べるようなチャレンジよりも、はるかに安全だ。

そうは言っても、ドレイクやビヨンセがまだまだチャレンジを提供してくれている。スターのなかには、常に光輝いている人もいるのだ。しかし、こうしたスターの存在さえオンラインの世界では、陽の当たらない暗黒の谷底に差す一筋のかすかな光にしか感じられない。

グランピー・キャットは、インターネット史上で最も重要な存在だったのだろうか? 決してそうではない。だが、この猫の死は、すでに何十年も前のように感じられるひとつの時代を思い起こさせてくれる。大学を卒業する期間くらいしか経っていないにもかかわらずだ。

けだるそうな猫、ダンス、絵画「エッケ・ホモ」の投稿などが、数カ月にもわたって大勢に幸福をもたらしてくれる時代があった。ノスタルジーはときに危険なものだし、古い人間だと言われるかもしれない。だが、そんな時代はもうやってこないのだ。

ANGELA WATERCUTTER

2/2ページ

最終更新:5/20(月) 8:11
WIRED.jp

記事提供社からのご案内(外部サイト)

『WIRED Vol.33』

コンデナスト・ジャパン

2019年6月13日発売

1,200円(税込み)

『WIRED』日本版VOL.33「MIRROR WORLD - #デジタルツインへようこそ」来るべき第三のグローバルプラットフォームを総力特集

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事

あわせて読みたい