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標高5000mに出現する季節限定の街 エベレスト・ベースキャンプの実態

5/20(月) 17:38配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

最高峰の玄関口、眺めの良い高級テントも

 毎年春、世界各国の何百人もの登山家が、世界最高峰の登頂成功を願いつつエベレストへ向かう。しかし、その時間の大部分は斜面をよじ登ることよりも、ベースキャンプでの準備や休息、高度順応に割かれている。日常の家事と物資輸送、そしてときどき生死のドラマが起きるのが、ベースキャンプでの生活だ。

【動画】空から見たベースキャンプの映像、もはや「街」だ

主なキャンプは2つ

 エベレストの登頂ルートは主に2つある。それぞれにベースキャンプがあり、テント生活にも違った特色がある。チベット側の北稜は比較的アクセスしやすい。ベースキャンプまでずっと車で行くことができるのだ。北側からの登山の多くはネパールのカトマンズから出発し、車で国境を越えて中国に入り、山を目指す。

 一方、ネパールからアクセスするサウスコルのルートは、普通は1週間かけてトレッキングしないと山の麓にたどり着けない。もっとも、ヘリコプターのおかげで、そうした難易度はかなり軽減されている。

 どちらのキャンプも、氷河が作った2つの巨大な谷の中に作られている。北側のチベットベースキャンプはロンブク氷河末端に位置し、南側のネパールベースキャンプはクーンブ氷河の上にある。

キャンプ地は人体の限界

 どちらのキャンプも標高5100~5300メートル台の地点に作られているのには、ちゃんと理由がある。およそ標高5500~5800メートルで人体は異常をきたし始め、長く生命を維持できない。ここより高いところで暮らそうとしてはいけない、ということだ。

 したがってベースキャンプは登山者の本拠地となる。ここから、登山家たちは1回3~5日の日程で全力で山に挑み、ベースに戻ってきて、少し快適な空気の中で体を回復させる。

現地スタッフが支える活況

 人気のエベレストブロガー、アラン・アーネット氏によると、ネパールの文化・観光・民間航空省が2019年春シーズンに発行したエベレスト登山許可証は375通。一方の北側には、144人の外国人登山者がいると伝えられている。単に登山許可証を持っていれば、ベースキャンプを拠点に山に登れるというわけではない。外国人はすべて、現地で認可された業者を通して登らなければならない。こうした業者が、ベースキャンプの宿泊、食事、基本的な手洗いの設備を提供している。

 外国人登山者の3~4倍の人数に上るのが、やはりベースキャンプで生活する現地の働き手だ。山に登るのを仕事とするシェルパもいれば、ベースキャンプのスタッフもいる。料理人、食器洗い係、給仕、そしてチームの責任者が、全員でガイド付き登山客をサポートする。

 彼らは、全員がシェルパ族というわけではないが、ほとんどがネパール人だ。この人たちがエンジンとなって、ベースキャンプの活況が維持されている。

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