ここから本文です

1-3月期国内GDP統計と消費増税の政治判断

5/20(月) 9:51配信

NRI研究員の時事解説

1-3月期GDPは見かけよりも悪い内容

2019 年1-3 月期の実質GDP(1次速報)は前期比+0.5%、前期比年率+2.1%と、事前予想の前期比-0.1%、前期比年率-0.2%(ブルームバーグ調べ)を大幅に上回った。

同期には、中国などアジア地域向けの輸出が顕著に悪化したが、輸入も大幅に減少したことで、外需(輸出-輸入)が予想外に大きなプラスの成長寄与となった。しかし、輸入の大幅減少は、国内需要の弱さを反映している面がある。さらに、民間在庫増加もプラスの成長寄与となったが、これについても需要の弱さを反映している面があるだろう。他方で、設備投資、個人消費といった内需の柱はマイナス成長となった。内需の中で公共投資がプラスの成長寄与となったが、民間最終需要は総じて弱めだ。このように、今回のGDP統計は、事前予想を大幅に上回るプラス成長となったものの、実際の内容は見かけよりもかなり悪い、と評価できるだろう。

ただし、仮に事前予想通りにマイナス成長になっていたとしても、それ自体を深刻に捉えるべきではなかっただろう。日本の潜在成長率は+0.8%程度(日本銀行の推計)と低い一方、四半期GDP統計の振れは大きい。この2つの要因が重なることで、景気回復局面でも四半期統計にしばしばマイナス成長が現れるのは、日本では普通のことだ。実際、2018年には、マイナス成長とプラス成長とが交互に現れた。2016年1-3月期から2017年10-12月期には、8四半期連続でプラス成長が記録されたが、これは強い外需によって実現された、いわば例外的な時期に過ぎない。

深刻な景気後退の可能性は未だ低い

鉱工業生産が前期比-2.6%と大幅減少となったことに表れているように、1-3月期には、製造業の生産活動は大幅に悪化した。その背景には、昨年末に中国でのIT財、資本財の需要が大幅に悪化したことの影響がある。製造業の生産活動の影響を強く受ける景気一致指数の構成指標に基づいて景気判断がなされるため、昨年末に日本経済が山を付け、景気後退局面に陥ったとの判定が後になされる可能性は、強くは否定できなくなってきた。

しかし、それでも、国内経済が加速的に悪化しているとの認識は正しくないだろう。3月以降、中国の経済指標は安定化を示しており、また、日本の鉱工業生産も、4月、5月は大幅増加が予想されている。

2012年3月の景気の山から始まった前回の日本の景気後退局面では、世界経済全体では後退局面と認識されるほどの悪化ではなく、国内でも不況感が強まらなかった。こうした景気後退は、経済的にはあまり重要ではない。今後、遡って景気後退入りと認定されるとしても、それは、前回の景気後退と同様に軽微かつ短期なものであろう。勿論、この先、世界経済が悪化傾向をより鮮明にしていけば、日本経済もより本格的な後退に陥るだろうが、その明確な兆候は現状では未だ見られていない。

1/2ページ

最終更新:5/20(月) 9:51
NRI研究員の時事解説

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事