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民法と相続税法で要件が異なる⁉「法定相続人」の範囲と順位

5/20(月) 8:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

本連載では、相続を専門とする円満相続税理士法人の橘慶太税理士が、専門語ばかりで難解な相続を、図表や動画を用いてわかりやすく解説していきます。今回は、法律上、財産を受け継ぐことのできる「法定相続人」について説明します。

兄弟・子ども・孫…相続人の優先順位パターン

実際に人が亡くなってしまった場合には、その人の遺産を分けていかなればいけません。この遺産の分け方には、法律で決めたルールがあります。そのルールは非常にシンプルです。

遺言書がある場合には、遺言書の通りに遺産を分けます。遺言書がない場合には、法定相続人全員での話し合いによって遺産の分け方を決めていくことになります。この話し合いのことを「遺産分割協議」といいます。

この遺産分割協議に参加できるのは、法律で決められた法定相続人という立場を持った人だけです。いくら生前中に仲がよくても、たくさんお世話をしたとしても、法定相続人でない人は1円たりとも相続することができません。また、法定相続人が全員揃っていないのに、勝手に進めた遺産分割協議は無効です。

また、相続税の計算は、法定相続人の人数に基づいて計算します。法定相続人が多くなればなるほど、相続税は少なくなる性質を持っています。この考え方を利用して、たとえば養子をたくさん取って相続税を少なくしようとする人もいるので、民法上の法定相続人の考え方と、相続税法上の法定相続人の考え方は、若干異なっています。

■配偶者は絶対に法定相続人

初めに民法上の法定相続人について解説していきます。相続税法上もほぼ同じなので、こちらをベースに理解してもらえれば問題ありません。

まず、配偶者は必ず法定相続人になります。ここでの注意点は、内縁関係や事実婚など、戸籍上の配偶者となっていない場合には、その人は法定相続人にはなれません。また当然、離婚をした場合には、元夫、元妻は相続人にはなれません。法定相続人になるには、婚姻期間は関係なく、変な話、結婚してすぐに相続が発生しても、遺産を相続する権利は発生します。

ちなみに夫婦の間で遺産を相続する場合には、最低でも1億6千万円まで相続税が課税されない、配偶者の税額軽減という制度があります。「夫婦の財産は、夫婦で協力して築き上げたものなので、そこに相続税を課すのは酷でしょ!」というのが、制度の趣旨です。

■第1順位の法定相続人は子ども

配偶者以外の法定相続人には、優先順位があります。上の順位の法定相続人がいる場合には、下の順位の人は法定相続人になれません。

まず、第1順位の法定相続人は子どもです。

上図のような家族の場合には、法定相続人になるのは配偶者である妻と、子どもの二人になります。当然、子どもが複数人いる場合には、その子どもたちすべて相続人になります。それでは、下図の家族の場合には、法定相続人は誰になるか考えてみましょう。



※イラストをクリックすると、正解が確認できます。

正解は、後妻(現妻)と、後妻との間の娘、そして前妻との間の息子です。前妻、前夫との間であっても、血を分けた子どもであれば、まぎれもなく法定相続人になります。離婚をすれば、前妻前夫は他人なので相続権はありませんが、血を分けた子どもはずっと相続権をもっているのです。

また、相続が発生した後に、隠し子が登場するというドラマみたいな展開が、現実世界でも結構あります。再婚したあとに新しくできた子どもと、前妻(または前夫)の間の子どもが喧嘩になることが非常によくありますので、遺言などでしっかり分け方の方針を決めておくことが大切です。

■第2順位は直系尊属(父母)、第3順位は兄弟姉妹

子どもがいない場合には、第2順位に進みます。第2順位の法定相続人は直系尊属である父母です。亡くなった人の妻と、亡くなった人の両親が法定相続人になります。嫁と姑の仲が悪い場合には、それこそ骨肉の争いに発展することがあります。不慮の事故とか、病によって両親より先に亡くなってしまうケースが多いので、争いにならないように気を付けたいところです。

そして、子どもも父母もいない場合には、第3順位に進みます。第3順位の法定相続人は兄弟姉妹です。このケースも比較的よくあります。亡くなった人の妻と、亡くなった人の兄弟姉妹が法定相続人になるケースです。この場合も、妻と兄弟姉妹はあまり馴染みがないことが多いので、争いに発展しやすいです。

特に地主家系ですと、これまで先祖代々引き継いできた土地が、配偶者の家系に流れてしまうのを嫌がる人は多いです。

■法定相続人が先に亡くなっている場合(代襲相続)

それでは、次のようなケースでは誰が法定相続人になるか考えてみましょう。不幸なことに、父より先に長男が亡くなっているケースです。

※イラストをクリックすると、正解が確認できます。

本来、遺産を相続するはずだった子どもが先に亡くなってしまっている場合には、その相続する権利は孫に引き継がれます。これを代襲相続(だいしゅうそうぞく)といいます。この時に気を付けなければいけないのは、相続権は孫には引き継がれますが、長男の妻には引き継がれません。長男の妻に遺産をあげたいときは遺言書が必要になります。遺言書があれば、法定相続人以外の人に財産を残すことが可能になります。

それでは次の場合の法定相続人はどうなるでしょうか?

※イラストをクリックすると、正解が確認できます。

正解は、甥二人と姪です。代襲相続は、兄弟姉妹が相続人の時にも起こります。つまり甥や姪が法定相続人になることもあるのです。兄弟姉妹の間の相続は、みな歳が近いので、すでに兄弟が亡くなっていることがよくあります。そのため、この代襲相続は実務上、よく見るケースです。

法定相続人が多くなればなるほど、遺産分割協議で話し合いをまとめるのが大変になります。このような場合には、遺言書があると非常に手続きが楽になります。

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最終更新:5/20(月) 8:00
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