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民法と相続税法で要件が異なる⁉「法定相続人」の範囲と順位

5/20(月) 8:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

知っておくべき相続税法上の独自ルール

独自ルール(1) 養子縁組をした場合の法定相続人

ここから先は、民法上の法定相続人と、相続税を計算する上での法定相続人の考え方の違いを解説していきます。まず紹介するのは、養子縁組をした場合の取扱いです。

養子は法律上、正真正銘の子どもとして取り扱われます。当然、法定相続人になるわけです。しかも第1順位の法定相続人です。民法上、養子は何人でもとることができます。極端な話100人でも200人でも許されるわけです。

しかし、ここで問題になるのが相続税です。冒頭で伝えた通り、相続税は法定相続人の人数が多ければ多いほど少なくなる性質を持っています。養子100人とってしまえば、それだけで基礎控除が6億円になります。

このような相続税の節税目的で養子縁組をすることを防止するために、相続税の計算をする上では、法定相続人に含めることができる養子の人数を制限しています。その制限は、その人に実子がいる場合には養子は1人まで、実子がいない場合には養子は2人まで法定相続人の人数に含めることができます。それ以上の養子は、民法上はOKですが、相続税の計算上は、法定相続人の人数にカウントすることはできません。

また、この人数以内であったとしても、明らかに相続税の節税目的以外に理由がない養子縁組と、税務署から認定されてしまった場合には、法定相続人の人数にカウントされなくなりますので注意しましょう。

ちなみに、養子縁組をすると何でもかんでも相続税が下がるわけではありません。場合によっては相続税が跳ね上がるリスクもあります。それについてはまた別の機会に説明します。

独自ルール(2) 相続放棄があった場合の法定相続人

亡くなった人に借金があった場合、法定相続人は、その借金も相続しなければいけないのでしょうか? ある日突然、多額の借金を背負わされたら大変です。そういった事態にならないようにするために、法定相続人は、相続があったことを知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所に申請をした場合には、相続を放棄することができます。これを相続放棄といいます。

相続放棄があった場合には、法定相続人の立場は、次の順位の法定相続人に引き継がれます。たとえば、第1順位の相続人である子どもが相続放棄をした場合には、法定相続人の立場は、第2順位相続人である父と母に引き継がれます。第3順位である兄弟姉妹が相続放棄をした場合には、相続人がいなくなるので、財産と債務は国に帰属することになります。

借金を多く残して亡くなった人の家族は相続放棄をすることが多いので、まるで爆弾ゲームのような現象が起きてしまうわけです。

と、ここで注目していただきたいのが、相続放棄をする前と、相続放棄をした後の法定相続人の人数です。当初、相続放棄をする前の法定相続人は妻と娘の2人でした。そこから、妻と娘が相続放棄をし、父と母が相続放棄をしました。その後、法定相続人は兄弟姉妹となりました。この兄弟姉妹は3人います。つまり法定相続人の人数は3人になりました。

そうなんです。相続放棄をすると、法定相続人の人数が変わることがあるのです。前述した通り、相続税は法定相続人の人数が多くなればなるほど少なくなります。このことから、相続放棄をうまく使うと、相続税を減らすことができてしまうのです。

そういったことを防止するために、相続税の計算をする上では、法定相続人の人数は、相続放棄がなかったものとした場合の法定相続人の人数を使うこととされています。先ほどの例でいうと、相続放棄があったことにより兄弟姉妹が法定相続人になった場合、民法上の法定相続人は3人です。しかし、相続税を計算する上では、相続放棄がなかった場合の法定相続人の人数を使うので、法定相続人の人数は2人ということになります。

このような取り扱いがあるため、相続放棄をすることによって相続税を節税することはできないようになっています。養子縁組をした場合と、相続放棄があった場合には、民法の考え方と相続税の考え方が異なってきますので、注意が必要です。

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最終更新:5/20(月) 8:00
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