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柴那典が分析する「ラップとロックの境界を破壊した男、ポスト・マローンこそがロックの未来か?」

5/20(月) 21:15配信

Rolling Stone Japan

「ホテルの窓からテレビを投げ捨て、ドラッグを吸ってグルーピーと戯れる。まるで気分はロックスター」とラップする「Rockstar」で、全米1位を8週間にわたって独占。その後も、タイ・ダラー・サインをフィーチャーした「Sscyho」や、映画『スパイダーマン:スパイダーバース』に提供したスワエ・リーとのコラボ曲「Sunflower」でも次々と全米1位を奪取。ヒップホップの流儀を逸脱しながらも、絶大な支持を広げていくポスト・マローンは、ラップ界の革命児か? ロックの救世主か? 音楽ジャーナリストの柴那典が分析する。

写真1点:柴那典が分析する「ラップとロックの境界を破壊した男、ポスト・マローンこそがロックの未来か?」

第61回グラミー賞には様々な見せ場があったが、中でもポスト・マローンとレッド・ホット・チリ・ペッパーズのコラボは、レディ・ガガ「Shallow」の熱唱に並ぶ「2010年代におけるハードロックの再定義」として、とても意義深いものだった。アコースティックギターの弾き語りによるバラード「Stay」からステージを始めたポスト・マローンは、自身最大のヒット曲「Rockstar」をハンドマイクでラップし、そのままレッチリにジョイン。ギターを抱えアンソニーとハモるというパフォーマンスを見せた。

また、昨年のMTVビデオ・ミュージック・アワードではポスト・マローンはエアロスミスと共演。21サヴェージと「Rockstar」を披露し、続けてサプライズ登場したエアロスミスにやはりギターを抱え参加、スティーブン・タイラーとハモるというパフォーマンスを見せた。どちらも全く違和感ないコラボだった。

それはすなわち、彼の存在がエアロスミス~レッチリの文脈でポップ・シーンに受け入れられたということの証左と言えるだろう。つまり、アメリカにおいてラップとロックがどう交わってきたか、その歴史の最先端にいるのが彼である、という位置づけだ。86年にはランDMCとエアロスミスの「Walk This Way」があった。91年にはレッチリの『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』があった。04年にはリンキン・パークとジェイ・Zの『コリジョン・コース』もあった。こうした系譜の先に、「今のロックスターはどうあるべきか?」という問いに100%答える形で世に出てきたのがポスト・マローンだ。

ラップというアートフォームが完全にポップ・シーンの前景となり、バンド編成を前提としたサウンドデザインが音色的にもリズム的にもモダンと見做されないシーン。女性が力を持ち有色人種がコンシャスな発言権を持つようになり、多様性が称揚される一方でかつてのハードロックのスターたちが象徴したような「ろくでなしの白人男性」が萎縮せざるをえない社会。そういう状況において無意識下で求められていたものを提示し必然的に爆発的なヒットとなったのが「Rockstar」だと思っている。

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最終更新:5/20(月) 21:15
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