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「記憶は失っても心は失わない」認知症がテーマの映画『長いお別れ』大阪試写会に中野量太監督が登場

5/20(月) 10:24配信

ウォーカープラス

数々の映画賞を席巻した『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016)の中野量太監督の最新映画『長いお別れ』。5月31日(金)の公開を前に舞台挨拶付き試写会が大阪商工会議所(大阪市中央区)で行われ、メガホンをとった中野監督が登壇した。

舞台挨拶では観客の撮影タイムも。観客に手を振る中野監督

映画『長いお別れ』(配給:アスミック・エース)は、直木賞作家の中島京子の同名小説を映画化した作品。父・昇平の70歳の誕生日に久しぶりに帰省した2人の娘は、母から父が認知症になったことを告げられる。ゆっくりと記憶を失っていく昇平の予想外の行動や思わぬアクシデントに驚いたり戸惑ったりしながらも、父親を支える家族の7年間を描いた物語だ。

中野監督にとって今作は初めて原作のある作品の映画化となった。これまでも監督は苦しい状況の家族が奮闘する様子をユーモアを交えて描いている。原作を読んだとき監督は「お父さんが認知症になってしまったという厳しい状態ですけど、実は家族が一生懸命にする姿がとても愛おしかったり、愛らしかったり、クスッと笑ったり」と自身の感性と合い、魅力を感じたそう。また「認知症はこれからの世の中で避けては通れない時代がやってくるのはわかっているので、これは今撮るべき映画だなと思ったんです。原作を読み終わったころにはやるべきだと思ったし、面白くできると思いました」と映画化のきっかけを明かした。

認知症の父親役に山﨑努、2人の娘に蒼井優と竹内結子、母親役は松原智恵子と豪華キャストが4人家族を演じる今作。キャスティングには偶然のエピソードも。父親役の山﨑は実はすでに原作を読んでいて、映画化するなら自分にオファーが来るのではと思っていたそう。

中野監督はそのことを知らずに山﨑にオファーを出し、後から知らされた。監督は「それって自信があるわけです。自分がこの役をやれば絶対うまくできるし、やりたいと思っている。もちろん最初は何人か父親役の候補がいた中で、山﨑さんにオファーを出したのは本当に縁だと思うんです」と幸運を喜ぶと同時に「そういう風に思っている人を引き当てた僕の強運というか力というか……」と話し観客の笑いを誘った。

家族を描くことや、演出について聞かれると監督は「家族を描くうえでは絶対に家族に見えてほしいんです。俳優はプロだからその日初めて会っても、家族に『見せる』ことはできるけれど『見える』ことはなかなか難しい」とこだわりとその難しさを明かす。今作のストーリーは父親の70歳の誕生日に母親から娘たちに父親の認知症を告げられるところから始まる。「認知症になる前のお父さんの幸せだった誕生日会を知らないと驚けない。だから今回は3年前の67歳、お父さんがまだ認知症になる前の設定で誕生日会を開いたんです。半分リハーサル、半分親睦会のような感じでやって、家族の雰囲気を事前に作れました」と俳優の新鮮な演技を引き出した工夫があったことを語った。

認知症は辛くて苦しい介護や、身近な人が記憶を失う悲しさというマイナス面をイメージしがちだが、今作はそんな戸惑いや驚きを笑いに変え、父親を支える前向きな家族が描かれるのが特徴だ。中野監督は「今の時代の新しい認知症映画を作ろうと言って作ったつもりです。認知症になるといろいろ忘れたりして少し変わっていくんですが、数パーセント変わるだけで実は95、6パーセントは全く変わらないんです。娘や奥さんの名前を忘れることもありますがそれは病気だから当たり前。名前を忘れてもこの人が自分にとって大切な人というのは忘れません。台本の後ろに『記憶は失っても心は失わない』と書いて現場に向かっていました。そういうことを丁寧に丁寧に今回は映画で撮りました」と作品への思いを語った。

観客に「認知症?と構えてきている方もいると思うんですが、全然そんな映画にはなっていないので安心して観ていただきたい」と呼びかけた中野監督。実際に上映中には何度も温かな笑いが。上映後は中野監督も気さくに観客との記念撮影に応じ、最後まで交流を楽しんでいた。(関西ウォーカー・松原明子)

最終更新:5/20(月) 13:03
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