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マツダ、「システムに数百億円かけても、現場が使わなきゃ効果ゼロ」

5/20(月) 7:00配信

日経ビジネス

――コンピューターによる設計から、製造、シミュレーションによるテストといった、データが作り出す「デジタルワールド」と、実際に我々が生きている物理世界、「フィジカルワールド」。それをマツダがどうつなげてきたのかが、「マツダ・デジタル・イノベーション」、MDIの歩みである。そして、この手のシステムはハードとソフトを入れるだけではなく「今までのやり方を続けたい」と考える現場の人々をどう乗せるか、というほうが大問題だ。そんなお話を伺っています。

シリンダーがガラス製で燃焼中でも中が見える単気筒エンジン。燃焼室で燃焼ガスがどう動くかを高速度カメラで捉えることができるようになった

木谷(昭博氏、マツダ執行役員、MDI&IT本部長):繰り返しになりますけれど、まずCAD(Computer Aided Design)によって、物理的に不可能な設計はできなくなりました。そしてCAM(Computer Aided Manufacturing)によって、設計図通りに工作機械で加工ができるようになりました。次はいよいよCAE(Computer Aided Engineering)。

――これができれば、実際に部品や試作車を造らなくても、衝突実験をしていちいち潰さなくても、どういう性能を持っているか、衝突した時にどうなるかが分かるようになる。自動車各社がいま全力を挙げている「モデルベース開発(MBD)」の世界ですね。ただし、そのためにはシミュレーションのデータと実際の物理現象が一致しなければならない。

木谷:そう、でも、実車を路上で走らせても路面や天気、気温などの変数が多すぎるし精密なデータも取れない。なので、「多軸化ベンチ」や衝突実験装置などを使って、室内で模擬的にクルマの動きを再現・計測して、データとの整合性を確認していく。

――そしてその装置はバカ高いし、すぐ壊れる、と。

木谷:でもこれがないと、デジタルとフィジカルの連結は画餅になる。だから、いろいろな領域でこの手の装置を20機前後入れて、総額で数百億円使った。

●数百億円使っても、使い物にならない?!

――ここまでが前回(「予算がない、だからこそ先に走り出せたマツダ」)のお話ですね。マツダにとって、部門の投資としては大きすぎる。だけど、全社プロジェクトのMDIとして集中的にお金を回せたことで、部門の垣根を越えて一気に進めることができた。

木谷:そう。実物で試してモデルとコリレーション(変数の間の相関関係の強さを測定すること)を行う。これがなければ、本当に使い物になるCAEは生まれません、というお話です。

――はい。

木谷:そして「よし、わかった」と数百億円を使っても、すぐ効果なんか出ないんです。

――えっ、そうなんですか。

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最終更新:5/20(月) 7:00
日経ビジネス

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