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今、20歳なら起業する C Channel森川社長の遠回り

5/21(火) 7:47配信

NIKKEI STYLE

LINE(ライン)の前社長で、女性向け動画配信サイトC Channel社長の森川亮氏(52)が、同社を起業したのは48歳のときだった。大企業に15年間在籍した自らの経歴を「遠回りしたなあ」と振り返る森川氏は、今20歳だったら起業を選ぶという。「仕事の経験を通じて、社会を知り自分を知ってほしい」という森川氏の仕事の軌跡は現場主義に貫かれている。

■20歳の私ミュージシャンになりたくてピアノ、ギター、チューバ、サクソフォン、ドラムをやっていた
筑波大学で情報工学を専攻する学生でした。キャンパスが郊外なので、学生以外の出会いが少ないんです。アルバイトでできるだけ色々な人の仕事を見たいと思っていました。
ピザ、そば、ラーメンにフレンチ、バーでも働きました。料亭で和食の職人から怒鳴られたり、ビル掃除で一緒になったおじさんから悲哀の人生話を聞いたり。様々な世界の人に出会えたのは勉強になりました。
もう一つ、とことんやっていたのが音楽です。小さい頃はクラシック、大学生になるとジャズやサンバもやってました。ピアノ、ギター、チューバ、サクソフォン、ドラムと楽器は一通りやりましたね。当時は本気でミュージシャンになりたいと思っていました。
でも、大学4年になると他の学生と同じように就職活動をしました。理系でしたが、大学院に行こうとは全く思いませんでしたね。早く働きたくて仕方なかったのです。
日本テレビから早々に内定をもらえました。もし日テレに行かなかったら、レコード会社を受けていたと思います。実は、テレビ局に入ったのも、もしかしたら自分の曲を番組で使ったら人気が出るかもしれないという下心があったからなんです。実際、入社してから番組でこっそり使ったりしました。番組そのものがヒットしなくて、ダメでしたけど。

その頃考えていた「自分が好きな音楽で人が感動してくれたら本当に幸せだなあ」という感覚は、今も仕事のうえで意識しています。いくらお金をもうけても死ぬときに持って行けないですよね。自分の幸せって何だろうと考えると、結局は自分のやったことで人が幸せになることなのかなと思うのです。自分も楽しくて見ている人も楽しいという環境をどれだけ作れるかということは、今も大事にしています。

■20歳に戻れるなら起業するか、ベンチャー企業で働きながら人脈を作る
20歳に戻れるなら、起業しているかな。今はすごく起業しやすい環境ですよね。情報工学を専攻していましたから、起業するならコンピューターとかプログラミングとかの方向で起業していたでしょうね。僕のころはゲーム業界が伸びてきた時期でしたから、友人はだいたいゲーム開発をしていました。
もしくは、ベンチャー企業でインターンか何かをしながら人脈を作って、新しいチャレンジをするとか、そんな風に過ごしてみたいですね。
音楽と会社や仕事って、どこか似ているんですよ。僕の中では、クラシックが大企業。楽譜があって指揮者がいて、指示通りに弾くことを求められる。一方、ジャズはより起業とかベンチャーに近い。ジャズは決まっていないものを自分の創造性や情熱で変えていくような音楽で、僕はどちらかというとそっちに向いていたんでしょうね。クラシックは結局好きになれなくて、ジャズに落ち着きましたから。
それなのに、新卒で入った日本テレビはいわゆる大企業でした。どちらかというとフリースタイルでいたかったので、入社早々、スーツではなく当時流行っていたレゲエファッションでアクセサリーなどもじゃらじゃらつけて会社へ行きました。
「髪を切れ」とまず先輩に言われました。そこから毎晩、なぜかゴルフのレッスンに通わされた。配属になった部署がゴルフ部みたいなところで、社会人のたしなみだと言われまして。

入社するときに希望していた番組制作ではなく、コンピューターシステム部に配属されたのも、納得できませんでした。3年がんばれば希望の部署に異動させると言われたものの、がんばるものだから仕事ができると評価され、やればやるほど異動できないというジレンマに陥ってしまいました。
日テレを辞めたあとソニーに転職しましたが、通算15年も大企業に勤務していました。今思うと、僕は遠回りしたなあと思います。ベンチャー企業をへて自分でC Channelを起業したのは48歳の時ですから。

遠回りしたのですが、私はとにかく、自分のやりたいことを全てやってみたのです。日テレにいた間には、急にイラストレーターになろうと決意して、バンタンデザインスクールに通ったこともありましたが、半年ほどで先生に「向いてないからやめたほうがいい」と言われて断念。クリエーターに向いてないなら、経営する側に回ればいいのかと思い、次はTACという会計士を育成する専門学校に通ったこともありました。遠回りで時間はかかりましたが、自分に向いていること、向いていないことは明確になりました。
■20歳のあなたへ自分は何が向いているかわからないなら、働いてみて、自分の能力を知ってほしい。

ビジネスで生きていこうと思うなら、いろいろな場所で働いてみて、自分の能力を評価してもらい、自分には何が向いているかとか、どんな仕事がしたいかを見極めたらいいのではないかと思います。恐らく、多くの学生は自分がどっちの方向に行けばいいか見えていないでしょう?それならば、部活やサークルなどより仕事したほうが、自分の可能性が見えるんじゃないでしょうか。
仕事を経験すると、自分の能力がわかる。仕事との相性がわかることもあります。さらに人の裏側もみえてきます。遊んでいるときと違い、仕事では人の本性もみえてきます。そういう経験をぜひ若いころに積んでほしい。

大学生ですから、もちろん勉強は大事ですが、大学の勉強そのものが実際のビジネスよりも古いんですよね。私は社会人になってから大学院にも2度通っていますが、個人的には社会に出るのであれば、社会に役立つことを学んでおいた方がいいです。やっぱりビジネスは最先端にいないと勝てないと思うので、最先端の人と一緒に働いてみるのが一番じゃないかと。だから、20歳くらいから、起業とかインターンを経験してみてほしいですね。
(安田亜紀代 藤原仁美)
◇来週は、今まさに20歳の頃を生きる大学生2人が、U22記者とともに森川氏にインタビューした後編をお届けします。

最終更新:5/21(火) 12:15
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