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澤村拓一起用法に見る原監督の凄み/川口和久WEBコラム

5/21(火) 11:14配信

週刊ベースボールONLINE

澤村もマシソンパターンだったのか

「まさか!」
「やっぱりな……」
 正直言えば、その両方だった。

 巨人・澤村拓一のリリーフ起用のことだ。以前、澤村の先発転向について、澤村に逃げ道をなくさせるためだろうと書いた。
 慣れたリリーフで、今までのように結果を出したり出さなかったりを繰り返すのではなく、先発で起用し、ダメならもう使わないという通告。崖っぷちまで追い詰め、「お前は変わるのか、変われないのか」と問いかけたんだと思った。

 それが、あの人……、「先発でしか使わない」という言葉を簡単にひっくり返してしまった。

 驚いたけど、実は「もしかしたらマシソンみたいにするつもりだったのかな」とも思っていた。
 以前、書いたことがあったと思うが、マシソンが来日したとき、俺は巨人の投手コーチとして原監督の下にいた。
 マシソンは非常に強い球を持っている投手だったが、外国人選手の例にもれず、けん制ができない、セットポジションが止まらない、クイックができない、と基本的な技術は高校生以下だった。

 俺は時間がかかるだろうな、とは思ったが、リリーフは強い球があれば格好がつく。あの球があれば、走者を気にせずやらせても大ケガはしないだろう。やりながら教えていこうと思った。
 ところが、ここで原監督に言われたのが、「カワ、だったら先発をやらせようか。そうすれば本人も気づくだろう」だった。
 そのとき思わず「えっ!」って声が出た。

 そりゃそうでしょ。こっちは課題がある新外国人を任され、チームのために一番生かせる方法は何かと考えていたのに、この人は何を言っているんだってね。 

 確かに先発は、いろいろなケースが出てくる。球数も多いし、すべて力で抑えるわけにもいかない。失敗しながらも、必ず「これは直さなきゃ」と本気で思うようになる。それが修正の近道であることは確か。でも、間違いなく、数カ月はかかる。外国人にそんな時間をかけるのかという思いもあった。

 あとで「これはコーチと監督の考え方の違いなんだな」と思った。
 コーチは今いる戦力をいかにいい状態で起用するかを考えるけど、監督は、というか、これは原監督だからかもしれないけど、数カ月は捨ててもいい、その後、もっといい状態になれば、と割り切ったんだと思う。
 まだ勝負どころは先と思っていたんだろうね。

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最終更新:5/21(火) 11:14
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