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女性騎手のG1レース初騎乗でも注目!復活した競馬人気を支える「騎手」に必要な適性とは?

5/21(火) 7:37配信

日本の人事部

赤鉛筆と馬券を握りしめ、シニア男性が怒号を飛ばす――かつての競馬場はそんなイメージのある場所だった。しかし今では、家族が公園のような感覚で訪れたり、若い男女がデートで利用したりできる、明るい場所へと変貌。性別や年齢にかかわらずに楽しめるエンターテインメントを目指してきた競馬場の取り組みが効果をあげ、ここ数年で競馬人気は過熱している。その人気の中心的存在といえるのが騎手だ。ターフを颯爽(さっそう)と駆け抜け、多額の賞金を稼ぎ出すスター騎手は、どのような訓練を経て騎手の座にたどり着いたのだろうか。

女性ファンの取り込みでV字回復を見せる競馬産業

かつて競馬産業には長い低迷の時期があった。中央競馬の馬券総売上は1997年をピークに14年連続で減少を続け、1400万人を超えていた来場者も2011年には約600万人にまで減少。だが、前述のような取り組みによって、2011年からV字回復を遂げ、売り上げは前年比103%程度の成長をキープ。来場者数も2018年時点で約630万人と盛り返しを見せる。

もう一つ、女性や若年層の競馬ファンを増やすきっかけとなったのが、2016年2月にJRAで16年ぶりに誕生した女性騎手、藤田菜七子さんの存在だ。当時18歳だった彼女は、デビューから2ヵ月後にJRAで初勝利を収め、2018年6月には31勝を記録。最高レベルのレース「G1」で騎乗する権利を得た。藤田騎手の快進撃は止まらず、2018年8月にはJRA女性騎手として通算35勝で最多勝記録を更新し、同年12月には年間最多勝記録を更新した。2019年2月には、デビュー4年目にして晴れてG1デビュー。G1レースに女性騎手が出場するのは史上初のことだったが、武豊騎手などG1での勝ち経験のあるジョッキーら13人の騎手とともに戦い、5着に食い込む好戦ぶりだった。こうした歴史的な出来事を追い風に、競馬業界はさらに女性ファンを獲得していきたい考えだ。

馬主、調教師、厩務員。騎手は最後にレースを任される存在

騎手の仕事は言うまでもなく、競馬のレースに出場すること。最大18頭で着順を競い、入賞すると順位に応じて賞金がもらえる。競馬のレースには「平地競争」と「障害レース」、馬がそりを引きながらスピードを競う「ばんえい競馬」という種類に分けられる。多くの人がイメージするのは平地競争だろう。最も有名なレースの一つでもある「日本ダービー」では、18頭で2400メートルを争う。競馬というと賞金の高さが特徴的だが、賞金総額が3億円の「日本ダービー」では、1着馬の賞金は2億円。騎手の取り分は5%のため、勝ち騎手はその1回で1000万円を手にすることとなる。まさに一攫千金の、夢のある職業だ。

レースには、さまざまな関係者が関わることになる。生まれた競走馬を馬主に売る「生産牧場」、馬を買い所有する「馬主」、馬を馬主から預かり鍛え上げる「調教師」、調教師のもとで馬の世話をする「厩務員」。競走馬には最低でもこれだけの人が関わっており、騎手は彼らの期待を背にして最後にレースを任される存在なのだ。

騎手がレースに出られるのは、競走馬をもつ厩舎から依頼があった場合。馬主や調教師は、持ち馬の出走が決まれば、騎手を探すことになる。同じ厩舎に騎手が所属している場合もあるが、基本的には、実力や馬との相性、レース当日のスケジュールなどによって決められる。厩舎から直接依頼が来る代わりに、最近ではJRAのエージェントから騎乗依頼が来ることも増えている。レースへの出場が決まると、騎手は出走する競走馬と実際に走ることで、競走馬の調子や癖などをつかんでいく。騎手には初めて出会った馬と関係性を築いていくことが求められるほか、調教師や厩務員ともうまくコミュニケーションを取っていかなければならない。

騎手になるには、小柄で運動能力が高いこと、馬に乗るのが好きなことが前提条件だ。速く走るためには、騎手の体重は軽い方がいい。騎手養成学校の入学条件にも、制限体重が設けられている。騎手になってからも50キロ前後の体重を維持しなければならず、レース前に体重が増えてしまった場合、絶食を余儀なくされることもある。そのほかに騎手に必要な素養は、闘争心があると同時にフェアな感覚を持ち合わせていること。レースにはかなりの大金がかけられているため、強い闘争心がなければ勝ち続けることはできない。また、競馬は公営のギャンブルであり、自分の着順に人々の金銭事情が左右されるため、不正は絶対に許されない。

レース中はかなりのスピードが出るため、命をかけてレースに参加していると言っても過言ではない。時速70キロものスピードが出る馬の背中に乗りバランスを取るのは、予想以上に難しいのだ。落馬したり馬に蹴られたりして重傷を負うこともあれば、死亡事故も起きている。互いに闘争心を持ちながらも、冷静に周囲の状況を把握するための広い視野が必要だ。

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最終更新:5/31(金) 11:39
日本の人事部

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