ここから本文です

人手不要は目前 物流イノベーション史

5/21(火) 7:50配信

日経BizGate

 「ロジスティクス4.0」は物流における新たなイノベーションです。物流業界における「破壊と創造」、そしてイノベーションの先にある新たなビジネスの在り方について、ローランド・ベルガーの小野塚 征志氏(プリンシパル)が書籍『ロジスティクス4.0』(日本経済新聞出版社)を著しました。第1回ではロジスティクスにおける革新の変遷について解説します。

 「ロジスティクス」(Logistics)という言葉は、元々は「兵站(へいたん)」を指す軍事用語でした。すなわち、軍事活動を展開するために必要な人員、兵器、装備、食糧などを管理し、必要な場所に補給・輸送する機能を意味していたわけです。そして、古代から現代に至るまで、軍事活動におけるロジスティクスの重要性はいささかも変わりがありません。

 19世紀後半になって、この軍事活動に欠かすことのできないロジスティクスという言葉が経済活動でも用いられるようになりました。ロジスティクスにおける第1の革新である「輸送の機械化」が経済活動に大きなインパクトをもたらした結果といえます。

ロジスティクス1.0―輸送の機械化

 古来、大量・長距離輸送の要は、船舶に委ねられてきました。馬やラクダを利用した陸上輸送では、より多くのモノをスピーディに運ぶことが難しかったからです。だからこそ、広大な大陸を制した歴代の統治者は、運河の整備に力を尽くしてきました。経済活動を活発にするための大動脈だったからです。

 19世紀に入って、この「船舶依存」の状況に大きな変化がやってきます。鉄道の出現です。リチャード・トレビシック(Richard Trevithick)によって発明された蒸気機関車は、陸上での輸送力を飛躍的に高めることに成功しました。欧米の先進国を中心に競って鉄道網の整備が進められた結果、わずか100年で線路の総延長が100万キロメートルを超えるまでに至りました。内陸輸送の基盤は、運河から線路に一大転換を果たしたわけです。

 蒸気機関の実用化は、船舶の運用にも変化をもたらしました。帆船と違って、天候に左右されない蒸気船の出現は、海上輸送の定時性を格段に高めました。鉄道や蒸気船を使用することで、大量の物資を遠隔地まで正確かつ効率的に運べるようになったのです。その動力源がディーゼルエンジンや電気モーターに変わった現代においても、鉄道と船舶は大量輸送の基幹であり続けています。

 「輸送の機械化」を構成するもう1つの重要な変化は、トラックの出現です。当初は蒸気式だったトラックも、20世紀に入ってからは内燃式のエンジンにシフトし、軍需から民需へと広く普及していきました。街からは馬車が姿を消し、数多(あまた)のトラック運送会社が産声を上げました。ロジスティクスにおける20世紀とは、大量輸送時代の幕開けであったといえます。

1/4ページ

最終更新:5/21(火) 7:50
日経BizGate

記事提供社からのご案内(外部サイト)

・ビジネス上の「課題解決の扉」を開く!
・経営、人事、マーケティングからITまで
・専門家の知見や洞察に富んだコラム満載
・経営層、管理職層の悩みにも応えます

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事

あわせて読みたい