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寝屋川中学生殺害事件・山田浩二死刑囚獄中手記!

5/21(火) 19:46配信

創

2年連続して同フロアの獄中者に死刑執行

 それはともかく2年連続、年末に同じフロアの人の死刑が執行され、あまりいい気分はしないものです。一時は苦しみや淋しさ悲しみ等にもう耐えられず、控訴を取り下げ刑の執行をして貰ったら、この苦しみや淋しさ悲しみ等から逃れられて楽になるのでは? それもいいかなぁ…と考えました。
「初公判での土下座謝罪は形だけのパフォーマンスで誠意がない」「涙の謝罪も減刑作戦だから裁判員はだまされるな」等と、さんざんマスメディアで批判されましたけど…あの謝罪は本心でパフォーマンスじゃなかったんだと世間に信じて頂けるのなら、それもありかなぁと考え悩みました。刑が執行されたら、面白おかしく私の謝罪の思いを踏みにじったマスコミの報道記者やコメンテーター、ジャーナリストを呪い、子孫の代までたたり続けてやろうと覚悟もしました。怨霊となれるのなら…。
 しかし、このまま黙って国家権力に殺されることで、世間からは「やっぱり2人とも殺した事件の犯人だった」「これ以上ごまかしきれないから控訴を取り下げ現実から逃げた卑怯(ひきょう)者」と負け犬扱いにされたまま、この世を去るのも悔しいし納得がいきません。裁判で納得のいく結果を出して失った信用を取り戻すまでは死ぬに死ねないと思い、気持ちを前向きに切り替えることにしました。 
 それに今回の件で世間を敵に回しましたが、それでも私を信じてくれる人や応援をしてくれる人、大切な仲間がいます。そのような大切な存在が私にもいる以上は簡単に控訴を取り下げるとか、自ら命を縮める訳にはいきません。そんな人達の為にもこの苦しみや淋しさ悲しみ等を乗り越えなければと思いました。
 昨年の夏、ある雑誌に私の投稿や取材記事が掲載されました。接禁解除になった時、弁護士から「マスコミとは一切関わるな。取材等を受けたり接触はしないこと。マスコミは知人等を利用してあなたに接触してくる可能性もあるので知人であっても油断せず用心して下さい」と言われていましたが、接禁解除になっても誰一人面会に来ない淋しさや、裁判が始まる前に私から世間にどうしても伝えたいことが3つありました。
 その情報発信をしたいと思い、ある雑誌に手紙を書き、その編集部の人と手紙のやり取りをすることになり、ある日「取材したい」と言われ「実名掲載」が条件みたいなことを言われ、実名はちょっと…と躊躇(ちゅうちょ)しましたが、誌面を通して伝えたい事が伝えられるならと思い了承しました。

 ちなみに私が世間に伝えたい3つとは、第1に、起訴前に大阪府警捜査一課の捜査官(刑事)や大阪地検の検事から受けた違法な取調べでの「暴言、脅迫、自白強要、恫喝、死刑判決前提の脅し、差別発言等」の告発(ちなみに全て録音録画した記録媒体が存在しており、現在国賠提訴済み、大阪地裁第24民事部にて受理されています)、第2に黙秘権は憲法38条1項や刑事訴訟法98条2項で権利として定められ、被疑者の不利益とならないと保障されているのに、世間的には「黙秘=取調べで話せないことをしているから黙っている」という認識です。マスコミの印象操作もあり、実際私が黙秘をしているのは犯人という前提で罪を認めず反省していないという感じで報道されてます。そんな誤った一般論について訴えたかった、第3に報道、新聞や雑誌、そしてネット上のまとめ記事等の大半は嘘だということ。掲示板のスレッドの書き込みなんて便所の落書きレベルです。ネット配信の記事なんて塀の中に入っている者は読めないと思われているのかデタラメばかりです。また「捜査関係者の取材で分かった」との名目で憶測的ストーリーが報道を通して面白おかしく流されて、それが伝言ゲームみたいになり誤情報に尾ひれがついて更に誤情報となって、それが今もネット上で拡散されてます。
 そんな誤情報が私一人だけに対するものや、批判だけなら、まだ私一人だけが辛抱して済むことですが、実際は私一人だけでなく私の家族、両親や兄弟、彼女、友人知人、職場の関係者まで飛び火しています。また加害者側でなく被害者やご遺族の方まで批判やバッシングの対象になっているのを知り、大変心を痛めています。
 そのような被害者やご遺族に対するマスコミの批判が被害感情に火をつけて裁判にも影響を与えました。実際、私の誠意をこめた謝罪をパフォーマンスと批判された為、ご遺族に謝罪の思いが届かなかった。なのでこの3つを伝える為、実名で記事掲載して頂きました。記事掲載については正直、納得のいかない形で私の伝えたいことが総て掲載されることなく残念な気分でしたが、それなりに反響もあって色々なところから手紙が届きました。
 その中に現在、岐阜刑務所にて拘禁生活を送っている伊藤寛士代表という方がおられました。「Is Empire Group」というグループの代表で、塀の内外諸々の活動をしています。「絆に重きの共助集団」というのがコンセプトで、決して反社会的集団ではありません。昨年9月に伊藤代表から手紙が届いたんですが、すぐに意気投合し10月に加入させて頂きました。代表と知り合い4ヵ月が過ぎましたが本当に良くして頂いてます。価値観も一緒で目指す道も一緒、手紙のやり取りを重ねる度に「絆」を深めてます。
 まだまだ私は新入りで半人前以下の若輩者なので、代表から叱責されることもしょっちゅうですが、その都度、何事も身の丈に合った所作を心掛けるよう考え方を改めています。また代表を通じてたくさんの仲間とも知り合いました。それぞれ住む世界や育った環境は違いますが、コンセプトである「絆」はブレることなく、お互い助け合い協力し合って「絆」を深めています。
 私がこの雑誌の取材を受けず実名で記事掲載されていなければ代表と出会うことはありませんでした。いやそもそも接禁解除となってなければ弁護士以外との人達との出会いはなかったし、月刊『創』にも出会うこともありませんでした。篠田編集長とも出会えなかっただろうし、こうして手記を書くこともなかったでしょう。これも何かの「縁」であり「必然的」な「運命」だと信じています。
 不自由な生活、死刑被告人という苦しい立場、これから歩む道もでこぼこ道だらけで大変だと思うけど、しっかり前を見て進んでいけば、おのずと答えは出ると信じています。

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最終更新:5/25(土) 15:34

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