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俳優・西島秀俊が語る『空母いぶき』への“覚悟”「日本が経験したことのない…」

5/21(火) 12:24配信

PHP Online 衆知(Voice)

大切なものを守るために戦う姿と日常の尊さ

――昨今の日本を取り巻く情勢から、映画の想定は現実味を帯びているようにも見えます。

【西島】 最初に述べたように、この映画はあくまで平和のために撮った作品であって、別のテーマを前面に押し出したいわけではないように思います。

日本の命運がかかった、手に汗握る、ドキドキする映画ですが、観終わって映画館を出ると、いつもの日常が広がっている。そうした何気ない幸せの大切さも、あらためて感じていただける作品になっていると思います。

――緊迫した戦闘シーンとは対照的に、一般市民がクリスマスシーズンの和やかな空気のなかで日常を過ごしている場面も登場します。

【西島】 中井貴一さん演じるコンビニの店長が、クリスマスグッズの用意をしているシーンは素晴らしかったですね。平穏な場面があるからこそ、戦闘との対比が生きてくる。

深川麻衣さん演じるアルバイト店員が呼びかけても店長は耳栓をしていて聞こえない、というユーモアのあるシーンは、貴一さん自らがアイデアを出されたようです。

他にも、佐藤浩市さんが熱演された総理大臣、本田翼さんが演じたニュースメディアの記者など、どのパートをとっても「それぞれの戦い」があり、全員でつくり上げた作品になりました。

――「大切なものを守る」役を演じるなかで、ご家族の存在は大きかったのでは?

【西島】 本作に限らず、家族が僕の演技に少なからず影響を与えているでしょう。秋津は独身という設定ですが、「自分以外の誰かのために」という気持ちは、役に深みをもたらす面はあるかもしれません。

家に帰って子どもの寝顔を見ると精神的に癒されますし、リフレッシュにもなっています。

――『空母いぶき』は西島さんにとって、俳優としてどういう影響を与えた作品になったでしょうか。

【西島】 フィクションとはいえ、国の命運を背負って戦う人の姿を演じられたことは、役者として大きな経験だったと思います。

撮影では、とにかく休みなく撮り続けていました。普通はワンシーンを撮ると、次のシーンのセッティングなどで小休憩が入るんですが、今回はそれがいっさいなかった。

空母いぶき,西島秀俊朝から撮影でCICに入ったあとは、トイレ休憩もないほどぶっ通しでした。まさに戦闘をしているような気分です。それはおそらく監督が、演者の気を抜かせたくなかったからでしょう。

僕は屋外でアクションをしたりする大変な現場に携わることも多いのですが、今回はずっとセットでの撮影で、途中に声が出なくなりかけることもありました。

映画の臨場感を出すために、自分自身そうとう過酷な状況で演じていたんだな、と感じています。

キャスト全員が心血を注いで完成させたこの映画を観て、大切なものを守るために戦う人たちの姿や、何気ない日常の尊さを感じてもらえたらと思います。

西島秀俊(俳優)

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最終更新:5/21(火) 12:24
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