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現代のストレス社会に古代ローマの人生訓が効く理由

5/21(火) 6:00配信

JBpress

 (佐藤 けんいち:著述家・経営コンサルタント、ケン・マネジメント代表)

 激動期には古代のストア派哲学がリバイバルする。そういっても言いすぎではないだろう。そもそもストア派哲学は、旧来の価値観が崩壊し、価値観が大混乱していた激動期のヘレニズム期に古代ギリシアで生まれた「実践哲学」だ。紀元前3世紀頃である。

 2019年4月に編訳者として『超訳 自省録 よりよく生きる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を出版した。『自省録』は、紀元2世紀に生きた第16代ローマ皇帝マルクス・アウレリウスの「瞑想記録ノート」である。あくまでも自分だけの私的な備忘録として、多忙な政務のあいまを縫って執筆したものだ。マルクス・アウレリウスは、「最後のストア派哲学者」とされている。

 『超訳 自省録』は、哲学書というよりも人生訓として、現代人のための自己啓発書として読まれることを期待して編訳した。原本は全12巻で構成されているものの、雑多な内容の文章が順不同で並んでいるため、正直いって読みにくい。岩波文庫をはじめ各種の日本語訳が存在するが、いったん読み始めながらも、途中で挫折してしまった人も少なくないのではないだろうか。そのため今回の「超訳」にあたっては、全体の約半分の文章をセレクトしたうえで小見出しをつけ、内容別に配列し直して再構成した。編訳作業の際に、私がとくに心がけたのは、あくまでも激動期に生きている現代の一般的な日本人が置かれている状況を念頭に置いたことだ。哲学の専門用語はいっさい使用せず、訳文を読めば、あるいは耳で聴けば理解できる日本語を目指したつもりだ。

 ストア派哲学をざっくりと理解するには、最後のストア派哲学者であるマルクス・アウレリウスの『超訳 自省録』の各章のタイトルを読んでいただくのが早道だと思う。章のタイトルにはストア派哲学の基本概念を反映させてある。

 1 「いま」を生きよ
 2 運命を愛せ
 3 精神を強く保て
 4 思い込みを捨てよ
 5 人の助けを求めよ
 6 他人に振り回されるな
 7 毎日を人生最後の日として過ごせ
 8 自分の道をまっすぐに進め
 9 死を想え

 21世紀の現在、ストア派哲学は史上2回目のリバイバルを迎えている。現代人が抱えるさまざまな問題に対処するため、米英アングロサクソン圏を中心に、ストア派哲学が見直されるようになってきたのだ。

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最終更新:5/21(火) 7:25
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