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日本郵船と川崎汽船にかけられる「物言う株主」の再編圧力

5/21(火) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

 海運大手が“物言う株主”に揺れている。川崎汽船は投資ファンドから取締役を受け入れ、日本郵船は株主に配慮した資本政策にかじを切った。新風は長引く海運不況に業界再編をもたらすのか。
(ダイヤモンド編集部 柳澤里佳)

 「令和に元号も変わったことだし、新しい業界再編が進むのではないか」――。本気とも冗談ともつかぬ口調で、海運大手の幹部はこうつぶやいた。海運3位の川崎汽船が4月末、38.99%の株式を持つ筆頭株主、投資ファンドのエフィッシモ・キャピタル・マネジメントからついに社外取締役を受け入れたからだ。

 エフィッシモによる川崎汽船株の大量保有(6%強)が明らかになったのは2015年9月のこと。16年6月に開かれた株主総会では当時の社長の再任案への賛成率が57%となったが、これはエフィッシモが反対に回ったためだ。

 その後も買い増しを続け、18年6月には現在の比率に達した。同年11月に株式保有目的は「純投資」から「投資および状況に応じて経営陣への助言、重要提案などを行うこと」に変更された。

 川崎汽船は明珍幸一氏に社長が交代した4月、エフィッシモの内田龍平氏を社外取締役候補に選定した。内田氏は三菱商事や産業革新機構在籍時を含め、100社以上のサポートや投資の知見を持つ。

 川崎汽船の経営幹部はエフィッシモについて「“旧村上ファンド系”といわれるが、村上ファンド出身者はごく少数。通常の機関投資家と同様に意見交換をしてきた中で、双方から社外取就任の案が出た。建設的な対話ができる紳士的な投資家だ」と“ハゲタカアクティビスト”のイメージを否定。社長交代は「構造改革に道筋が付いたことが理由」と強調する。

 一般的な投資ファンドの出口戦略として、経営陣に自社株買いを迫るか、市場での株式売却などが考えられる。赤字続きで自己資本比率が10.9%にまで低下した川崎汽船にとって自社株買いは容易ではない。株価は大幅に下落しており、エフィッシモが市場で売り抜けることも現実的ではない。

 となると第三の選択肢はM&A(企業の合併・買収)だ。6月に予定される川崎汽船の株主総会でエフィッシモが何らかの株主提案をする可能性が高まっており、それが業界再編の呼び水になるのではとの臆測が広がる。

 国内最大手である日本郵船と商船三井、川崎汽船の3社は、世界的な海運不況を背景にすでに主力のコンテナ船事業を切り離し、統合会社を設立している。これにより国内最大の海運会社が誕生した。18年4月からOCEAN NETWORK EXPRESS(通称ONE社)として営業を始めた“日の丸連合”はスタートからつまずいた。

 統合前の3社が持っていた契約をそのまま引き継いだこと、新しいシステムに不慣れだったことなどにより現場で混乱が生じ、積み高が計画より大幅に下振れた。18年度は約640億円の赤字。3社はそれぞれ30%強の持ち分があることから、各社200億円強の投資損失となる大誤算である。

 コンテナ船事業を切り離した後の各社のビジネスにも課題が残る。郵船は海上にとらわれない総合物流企業へのシフトを進めるが、子会社の日本貨物航空で不適切な整備や記録の改ざんが相次いで発覚。国から業務改善命令を受け、保有航空機の大半が運航できなくなった。18年度決算は経常損失20億円、純損失445億円に沈んだ。

 川崎汽船は本体に残ったコンテナ船事業が赤字で、強みであるはずの自動車船でも赤字に陥った。従前、売上高の約半分がコンテナ船事業で、他の2社に比べて同事業への依存度が高く、新たな成長戦略が見えない。

 そうなると、さらなる再編提案が飛び出しても不思議ではない。では、「受け手」はどこになるのか。

 郵船においては、村上ファンドの創業者、村上世彰氏が携わる会社が5月時点で5.9%の株式を保有し、実質的な筆頭株主となっている。村上氏は昨年、石油大手の出光興産と昭和シェル石油の合併に際し、出光の創業家を説得するなど再び活動の域を広げている。

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最終更新:5/21(火) 6:00
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