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1-3月期GDPが示す景気変調、次の金融緩和の決め手は「マイナス金利の深堀り」

5/21(火) 22:45配信

ダイヤモンド・オンライン

● 2019年、日本経済が景気後退に 陥るリスクが高まっている

 5月27日に内閣府が発表した1-3月期GDPによれば、日本経済は前期比0.5%のプラス成長だった。ただ国内民需は、すでにマイナス成長に陥っている。主な民間需要では、個人消費、民間企業設備投資がともにマイナス成長で、住宅投資だけがプラス成長だった。

 ただし住宅投資のプラス成長は、今年10月の消費税増税を見越した駆け込み需要によるもので、持続性はない。また輸入は前期比4.6%減と急減した。輸入の急減は、国内需要の減少の証拠と考えるべきだろう。輸入が3ヵ月間に4.6%も減少したのは、リーマンショック後の2009年1-3月期以来のことで、日本経済に何か特別な変調が起こりつつあることを象徴している。

 景気の減速懸念は日本に限ったことではない。今年に入り、FRB(米連邦準備制度理事会)は、昨年までの利上げ姿勢から景気の様子を見る姿勢に転じ、ECB(欧州中央銀行)は、成長見通しを大幅下方修正している。中国政策当局は、貿易戦争の影響も懸念し、財政拡大、金融緩和姿勢を強めつつある。

 日本の1~3月期GDPで明らかになった国内民需の減退も、世界的な景気減速の文脈で起こっていると考えるべきだろう。米中貿易戦争も足元で激化しつつあり、世界景気の懸念材料は増えている。日本経済が2019年内にも景気後退に陥る可能性が高まりつつある。

● 景気後退時に日銀は 何もすべきでないのか

 景気後退の可能性を見据えた論点としては、消費税増税の延期・中止の是非があるが、本稿では日本銀行の政策対応について考えたい。

 2013年に黒田東彦氏が日銀総裁に就任して以来、日銀は国債、株、ETF、REITの購入を通じた量的緩和、マイナス金利の導入、長期国債金利ターゲット導入(イールドカーブコントロール)、フォワードガイダンス導入と、次々にと新しい金融政策を打ち出してきた。しかし異次元開始後6年を経て、日銀の国債保有は470兆円(2019年4月末)を突破し、長期国債発行残高の半分を日銀が保有する状況になっている。

 また、マイナス金利政策は金融機関の収益悪化につながり、円滑な信用供与を損ねる可能性があるとして、金融機関を中心に反対の声が多い。株・ETFの購入も、株価形成を歪ませ、企業のガバナンスにも負の影響を及ぼすと批判されている。こうした状況下で、元日銀関係者も含め、「日銀はすでに金融緩和策を出し尽くしており、仮に景気後退に陥ってもできることは少ない」という声が、エコノミストの間では強い。

● 日銀の「緩和策出尽くし」 という期待は急速な円高を招く

 しかし筆者は、そのように考えていない。マイナス金利、株・ETFの購入に弊害があることは確かだが、どのような公共政策にも必ずプラス面とマイナス面の両方が存在する。政策担当者はそれを承知の上で、経済局面に応じて政策の是々非々を判断すべきだろう。

 仮に日本が景気後退に陥り、デフレリスクが目の前に迫ってきたとき、日銀が何もしないと判断することは、物価、経済成長に責任を持つ日銀の金融政策として不適切だし、政治的にも考えにくい。また、海外中央銀行が金融緩和に踏み切った場合、円高圧力が強まり、日銀が何も対処できないという期待が広まると、急速な円高が進行し得る。為替レートの急速な変動には為替介入という手段もあるが、米国も景気減速に見舞われているとなれば、トランプ政権が日本の為替介入を容認するとは考えにくい。

● 次の金融緩和の決め手は マイナス金利の深堀り

 景気後退時の金融緩和策としては何が適切だろうか。株価が急落している場合は、株式・ETFの買い入れ増額が順当だろう。一方、円高リスクの抑制には、マイナス金利の深堀りが有効となる。

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最終更新:5/21(火) 22:45
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