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野球人から料理人イチローさんへ。「包丁を持つことが大きな前進です」

5/21(火) 8:01配信

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 バットを包丁へ持ち替えたイチローさん。

 今回はそんな「包丁人イチローさん奮戦記(? )」を紹介したい。

【写真】意外と見たことない投手イチロー&丸佳浩らの高校時代。

 その前にまずは近況から。

 イチローさんは、令和を迎えると同時にマリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターに就任した。本拠地Tモバイル・パークでの試合前はインストラクターとしての職務に励む日々を送っているが、コーチ役となっても自身の準備は現役時代と変わらない。

 初動負荷理論の特殊マシンで体を動かす入念なウオームアップから始まるコーチ役は彼をおいて他にはいない。デモンストレーションを求められた際の備えであるが、その動きはまるで現役選手そのものだ。

 打撃練習ではケージの後ろから選手のスイングをじっと見つめている。その場でアドバイスを送ったり、バットを持つことはここまで一度もない。

 意見を求められた際に的確な言葉を送るための準備期間と言えばいいのだろうか。役回りが変わっても、イチローさんにとって備えることの重要さは変わっていない。

球場にやってくるときはいつ?

 ファンの方もそんなイチローさんの姿を目にすることができる。

 試合開始約2時間前の開場と同時に球場へやって来れば、フィールドにはイチローさんがいる。

 さらに、打撃練習終了後には連日一塁側ベンチ前で即席サイン会も開かれる。気さくにサインに応じるその表情は柔和そのもの。記念撮影のチャンスだってある。

 ただし、ひとつだけ頭に入れておかなければいけないことがある。試合前の打撃練習がなければ、イチローさんは球場にやってこない。ナイター明けのデーゲームはかなりの確率でそれに当たるし、前夜の試合が延長戦になるなど、試合が遅い時間にまで及んだ翌日も打撃練習はキャンセルされる。

 その辺りをしっかりと調べた上で来場すれば、イチローさんに会える機会に恵まれる。

妻にはゆっくりして欲しいを実践。

 さて。本題に入ろう。

 イチローさんの現職就任が発表されたのは4月30日(日本時間5月1日)のことだった。その際にスコット・サービス監督が興味深い話をしてくれた。

 「彼ほど引退で日々の生活が変わった人はいないのではないか。今までやったことのなかった家の掃除とか、朝食を作ったりしているそうだ」

 この監督発言を聞き、3月21日に東京で行われた引退会見でのイチローさんの言葉を思い出した。

 「とにかく(僕のために妻は)頑張ってくれました。僕はゆっくりする気はないですけど、妻にはゆっくりして欲しいと思います」

 ゆっくりして欲しい……。会見での言葉を本当に実践しているということなのか。イチローさんに早速、聞いてみた。

 「それはそうです。今までやれなかったことをね。例えば、包丁を使うこととかって、危ないですからね。(現役の時はケガの)リスクはあるからね。それは、今はねぇ。指は切っちゃいけないけど、出来るじゃないですか。それは随分と(妻も)楽にね、それだけでもね」

 照れることなく、笑顔で話すその表情は愛妻家そのもの。イチローさんはさらに続けた。

 「わかりやすいのはそれくらいかな。僕は元々掃除は好きだしね。掃除機かけるのが好きだから。(現役の時は)今みたいにはやってなかったけどね。今は好きだからいつもやっています」

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最終更新:5/21(火) 17:36
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