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短距離隆盛の陸上に新たな可能性。強化が実り始めた4×400の今後。

5/21(火) 11:01配信

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 5月11日、12日に行なわれた世界リレー。最も注目を集めていた4×100mリレーはバトンミスで失格に終わったが、一方で、4×400mリレーは4位となり、今秋に開催される世界選手権の出場権を獲得した。

 初日の予選では組の1位、全体3位で翌日の決勝に進んだ。決勝では、1走のウォルシュ・ジュリアンが流れをつくり、2走の佐藤拳太郎、3走の北谷直輝も4番手でつなぐ。アンカー若林康太はベルギーにかわされて5位でゴール。アメリカが失格し順位が繰り上がっての4位ではあったが、上々、いやそれ以上の好成績と言えるだろう。

 「僕らの世代で、復活させたいです」

 レース後、ウォルシュがコメントしているが、かつては4×400mリレーこそ、世界上位に食い込んでいたリレー種目だった。

メダルまで0秒09差。

 成績がそれを物語っている。1996年のアトランタ五輪では決勝に進出し5位、2004年のアテネ五輪では4位となっている。しかも3位との差は0秒09、メダルまであと一歩に迫っていたのだった。

 だが、'08年の北京以降、'16年のリオデジャネイロまで3大会連続で予選敗退。世界選手権でも、'09年に出場権を逃し、連続出場は11回で途絶えた。'17年のロンドン大会では予選2組で登場するも、日本記録から6秒以上遅れる3分7秒29で最下位の8位。しかもバトンを落としたチームにも先着される事態に、走者の1人、金丸祐三は「言葉にならないというのが正直なところです」と失意を隠せなかった。

 苦しんできた要因の1つには、400mの選手層が薄いことにあった。

 100mでは記録に挑みつつ切磋琢磨する中、さまざまな選手の台頭が見られる。個々に地力をつけ、桐生祥秀やサニブラウン・ハキームといった10秒を切る選手も出現し始めた。

 これがリレーでの好成績にもつながっている。

第一人者、金丸も輝けず……。

 400mは対照的だ。先の金丸が突出した第一人者として君臨してきたのが現状だった。日本選手権で他の追随を許さず、'15年まで11連覇を果たしていることは象徴的だ。その金丸であっても、3度出場したオリンピックの400mはいずれも予選敗退にとどまった。選手個々の地力において、海外との差が大きくなっていた。

 次の成績も興味深い。アジア大会では'14年に金メダル、'18年に銅メダルを獲得しているが、3分1秒88を記録した'14年のメンバーには藤光謙司、飯塚翔太が含まれていた。2人の専門は短距離種目であり、4×100mリレーの日本代表となったことも珍しくない。

 また3分1秒94の'18年にも、飯塚と今回の世界リレーで4×100mリレーに出場した小池祐貴がいた。400mの選手層の薄さを示していると言えるだろう。

 また、リレー種目に対する日本陸上競技連盟のバックアップも決して強かったとは言えない。例えば'09年世界選手権への出場に必要な参加標準記録突破のためにレース出場の機会を増やすことに、連盟として積極的ではなかった。「まずは個々の走力アップが優先」という見解からだったが……。

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最終更新:5/21(火) 11:16
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