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おいしくなった日産は手放さない

5/21(火) 17:00配信

日経ビジネス

日産自動車のCOO(最高執行責任者)として大ナタを振るい、2000年に社長に就任したカルロス・ゴーン氏。業績回復が順調に進むと周囲の見方も変わる。「コストカッター」としての手腕に対する評価が高まり、その一挙手一投足が注目を集めるようになった。それと歩調を合わせて立場的には日産のトップであったはずの塙義一氏の存在感は薄くなり、2001年6月には、CEOの座もゴーン氏に譲り渡す。ルノーによる日産支配が強まる中、両社は株式の持ち合いと共同運営組織の設立を決めた。だが、その内容は日産から見ると不平等なものだった。日経ビジネスから発刊した書籍「カリスマ失墜 ゴーン帝国の20年」と連動するオンラインゼミナールの3回目では、ルノーと日産の間で結ばれた“不平等条約”とV字回復の裏側に迫る。

 2001年10月30日に日産とルノーは株式の相互保有と共同運営組織の設立を決めた。1999年に取り交わした両社の提携合意に基づき、ルノーがワラント(新株引受権)を行使し日産に対する持ち株比率を現在の36.8%から44.4%に高める。日産は第3者割当増資によってルノーの株式の15%を取得する。ルノーのワラント行使額は日本円で約2160億円。一方、日産によるルノー株取得には、現在の株価水準から計算すると約1500億円が必要になる。

 株式持ち合いについて、「連帯感の高まりによってパフォーマンスが上がる」(ルノー会長、ルイ・シュバイツァー氏)、「日産社員の士気が上がる投資であり、シナジー効果は高まる」(日産社長のカルロス・ゴーン氏)と、両社のトップはその意義を強調する。

 だが、本当にそうだろうか。病み上がりの日産から今、1500億円の資金を吸い上げる必要があるのか。これはルノーの事情によるところが大きい。

 ルノーの2001年1~6月期の連結営業利益は3億400万ユーロで、前年同期比71%減った。フランス国内でのシェアは7%近く落とした。ライバルのプジョーグループが営業利益を14億200万ユーロと20%増やし、シェアを7.2%に上げたのとは対照的だ。こうした「厳しい状況にあるルノーが、日産からの果実の取り込みを急いだ」(自動車担当アナリスト)との指摘が多い。

 持ち合いで、見かけ上はルノーから600億円余りキャッシュが流出するが、ワラントの行使価格400円と時価との差による含み益でおつりがくる。01年11月8日終値553円を基に単純計算すれば、新規取得分の含み益は820億円強に達する。

 しかも持ち合いとはいえ、日産が保有する予定のルノー株には議決権がない。いわば不平等条約なのである。ここでオランダに共同出資で設ける新会社「ルノー・日産BV」の出番になる。

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最終更新:5/21(火) 17:00
日経ビジネス

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