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“動くボール”の時代 右打者有利に働いている可能性も

5/22(水) 7:00配信

NEWS ポストセブン

 今季絶好調の巨人・坂本勇人(30)は現在セ・リーグ三冠王(打率.338、13本塁打、30打点。5月14日時点、以下同)。パ・リーグでは西武・山川穂高(27)が16本塁打、43打点で大差をつけて二冠をひた走る。他にもヤクルト・山田哲人(26)、広島・鈴木誠也(24)も成績上位。メジャーでもエンゼルスのマイク・トラウト(27)や、アストロズのホセ・アルトゥーベ(29)など、右の強打者が増えている。イチローや松井秀喜に代表されるような“左打者有利”の神話は崩れつつあるのか。

【写真】山田哲人のダイナミックな打撃フォーム

 近年では、トレーニング理論の発展から投手の筋トレ法も確立されたため、球速がアップし、スピードボールで勝負する投手も増えてきた。

「たしかに球速は上がっていますが、それだけで勝負しようとする投手も多い。逆に言えば、スピードにさえ対応できれば攻略できる時代なんです。ですから、単純に一塁に近いからとか、右投手が多いからといって、ただちに左打者が有利とは言えなくなっていると思います」(野球評論家・遠山獎志氏)

 プロアマ問わず取材をするスポーツ紙デスクは左右の相性を引き合いに出す。

「大学野球レベルでは顕著ですが、左打者が、極端に左投手、とくに変則フォームのピッチャーを苦手にすることが多い。半面、右打者は、投手の左右に大きな得手不得手がない印象があります。

 それがプロの世界にも当てはまるのではないか。右打者には右投手、左打者には左投手という定石があり、さらに、左投手が以前より珍しくなくなっていることが、相対的に右打者が成績を残しやすい状況を作り出しているかもしれません」

 在京球団でコーチ経験があるスカウトは、右打者隆盛の理由を「ピッチャーの投球スタイルの変化」に見ているという。

「かつては佐々木主浩のフォークや伊藤智仁のスライダーといったように“大きく変化する決め球”を持った投手が重宝されました。しかし、現在の球界ではカットボールやツーシームといった、手元で少しだけ変化してバッターの芯を外す“動くボール”を武器にするピッチャーが増えた。

 とくに右投手のカットボールは、右打者にとっては対応しやすいが、左打者は内角に食い込んでくるため、詰まってゴロになるなどなかなか攻略できない。“動くボール”時代が右打者に有利に働いているのかもしれない」

 時代の流れとともに生じた打撃・投球の理論の変化が、「右打者最強説」を生み出すのか─―今季の打撃タイトル争いは、そうした視点からも楽しめそうだ。

※週刊ポスト2019年5月31日号

最終更新:5/22(水) 14:19
NEWS ポストセブン

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