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9秒台突入「サニブラウン」日本代表起用までの高い壁

5/22(水) 9:32配信

SmartFLASH

「日本の男子短距離陣は、初の9秒台を出した桐生祥秀を筆頭に過去最高レベル。それでも、彼のポテンシャルは群を抜いていた」(陸上ライター)

 サニブラウン・アブデルハキーム(20・フロリダ大学)が、5月12日(日本時間)に米国大学南東地区選手権100メートル決勝で9秒99、日本人2人めとなる9秒台を出して優勝した。

 だが、出場した8人中7人が自己ベストと、条件に恵まれた気もするが……。

「これくらいの記録は当然です。気温が上がる夏になれば、さらに記録を伸ばすのは間違いない。これまでのサニブラウンはスタートが苦手で、それを補うためにすぐに上体を起こす癖があった。

 だが、今季は違う。じつは3月におこなわれた室内大会の60メートルでも、日本タイ記録をマーク。スタートが重要な60メートルでも結果を残していた」(同前)

 2017年の世界選手権200メートルで、史上最年少での決勝進出を果たし、今回9秒台も記録。個人種目での五輪メダルも夢ではない。さらに期待されるのは、日本男子のお家芸、4×100メートルリレーの一員としてだ。

 前回のリオ五輪では、9秒台の選手が一人もいないなかで銀メダル。東京五輪では金メダル獲得が期待される、日本代表チームの武器は、世界一美しいといわれる「アンダーハンド」パスである。

 バトンパスには「オーバーハンド」と「アンダーハンド」がある。「オーバー」は次走者が後方に腕を伸ばし、前走者が上からバトンを渡す一般的な方法。腕を伸ばすため、2人の間の距離を稼ぎやすい。

 一方の「アンダー」は次走者が腕を下に向け、前走者が下からバトンを渡す。2人の距離が近くなるため稼げる距離は短いが、加速しやすく、確実に渡せる。

 だがそれには「ある条件が必要だ」と、元100メートル日本記録保持者の不破弘樹氏が語る。

「アンダーハンドの利点を生かすためには、4人の走力に大きな違いがあるとダメです。サニブラウンを入れるならアンカーにし、9秒台の桐生を3走に持ってくるのがいい。2人のタイムは近いですし、サニブラウンもバトンを受け取るだけですから」

 しかし、サニブラウンは所属するフロリダ大が「オーバー」を採用しているうえに、バトンワークに難がある。

「2017年の世界選手権の際、当時オランダを拠点にしていたサニブラウンは、日本代表の短距離合宿を時差によるコンディション調整の難しさや蓄積疲労を理由に、ただ一人不参加。

 本番直前にリレーの練習をしたが、バトンの受け取りでミスを連発し、頭を抱えた陸連がアンカー起用を断念した過去がある。

 リレーはメンバーの癖や走力を把握しなければいけないため、繰り返し練習が必要です。サニブラウンはフロリダが拠点。限られた時間で、どれだけほかのメンバーと練習を積めるかがカギになる」(専門誌記者)

 日本代表入りへ、不破氏がエールを送る。

「起用にはいろんな議論が繰り返されるはず。だからこそ飛び抜けた記録で、周囲を納得させる必要があります」

 7月、サニブラウンは国際大会のリレーに出場する日本代表チームと合流予定。五輪金へ「連係プレー」は本番前から始まる。

(週刊FLASH 2019年6月4日号)

最終更新:5/22(水) 13:44
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