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「歩く前にハイハイした」恐竜が新たに見つかる、人間との意外な共通点

5/22(水) 17:15配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

成長するにつれて4足から2足歩行に、最新研究

 ハイハイしていた赤ちゃんが2本の足で歩き始める。本人や親にとってはもちろん、動物の種としても、それは特別な出来事だ。成長するにつれて、同じように4足歩行から2足歩行へ移行する動物はほとんどいない。はるか昔に絶滅した恐竜以外には。

ギャラリー:決定版!奇跡の恐竜化石たち 写真23点

 その恐竜のなかで、4足歩行から2足歩行へ移行していた証拠がまた新たに見つかった。ムスサウルス・パタゴニクス(Mussaurus patagonicus)と呼ばれる竜盤目竜脚形類の恐竜だ。論文は、5月20日付けで学術誌「Scientific Reports」に発表された。

 ムスサウルスという属名は「マウストカゲ」という意味だ。というのも、孵化したばかりのムスサウルスは、ネズミほどの大きさしかないからだ。人間の手のひらにすっぽりと収まる大きさだが、その後、シダ植物などを食べてみるみる成長し、わずか8年で体重が1トンを超える。体の大きさと形があまりに急激に変化するため、歩行形態もそれに合わせて変化せざるを得なかったのだろうと、最新の研究論文は指摘する。

 およそ2億年前から始まったジュラ紀の初期に生きたムスサウルス・パタゴニクスに関しては、3つの異なる成長段階の化石がほぼ全て見つかっている。それらを基に3Dモデルを作り、成長するにつれて体の重心がどう移動していったかを研究した。すると、幼体の頃は大きな頭と首によって体が前方に傾き、十分に発達した前脚がそれを支えていたことがわかった。しかし、尾の成長とともに重心は骨盤の方へ移動し、体全体が上方向へ伸び、2足歩行を可能にした。

「このパターンが全ての竜脚形類に当てはまるかどうかはわかりませんが、この恐竜のグループが人間と同じように成長とともに2足歩行するようになったという事実は大変興味深いです」と、アルゼンチンにあるラ・プラタ博物館の古生物学者で、この研究を率いたアレハンドロ・オテロ氏は言う。

非常にまれな恐竜の化石

 絶滅した動物の研究が難しい理由のひとつは、化石など研究できる資料が少ないことだ。特に孵化したばかりの幼体や子どもの場合、体が小さすぎてめったに化石にはならない。

「卵や幼体から成体になるまでの化石がそろうのは非常にまれです。ムスサウルスはその珍しいケースになりました」。英ロンドン大学付属王立獣医科大学の進化バイオメカニクス教授で論文共著者のジョン・ハッチンソン氏は言う。「おかげで、20年前には考えられなかった新たな疑問が多く出てくるでしょう」

 今回の研究に使用された化石は、すべて組み合わせるのに50年以上を要したという。このように成長過程がわかる一連の化石は、専門家の間でことのほか重宝される。

「多くの恐竜について、ひとつの決まったイメージしかありません。けれど、ほかの全ての動物と同様、恐竜も成長とともに変化します。恐竜の化石は非常に珍しいため、それを確かめる機会がほとんどないだけです」。古生物学者で、米国科学振興協会の科学技術政策特別会員であるシェイナ・モンタナリ氏は言う。なお、同氏はこの研究には関係していない。

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