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ホオジロザメの遺伝子解析で、その優れた治癒能力の秘密が見えてきた

5/22(水) 12:15配信

WIRED.jp

ホオジロザメほど研究に気が引けてしまう生物は存在するだろうか。重さ2トンという巨体に、かみそりのような歯。ミサイルのようなスピードで獲物を狙うこのサメに、無線送信機を取り付けたり採血したりするところを想像してみてほしい。

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食物連鎖の頂点に君臨するこの生物の科学的な研究は、技術的な問題だけでなく、生物分類ツリーで人類に近い“枝”に位置する種の研究への偏見が足かせになっていた。サメが独自の種へと進化したのは4億年も前のことで、それは勇気ある最初の両生類が海を脱し、乾燥地へと進出する以前のことである。そんなホオジロザメは、21世紀の人類に何を教えてくれるのだろうか。

もたらされた重要な情報

ホオジロザメのDNAの解読に何年も苦労して挑んできた科学者によると、実際に人類が学ぶべきことは多いようだ。米国の研究チームが初めてホオジロザメのゲノムのマッピングに成功し、このほど発行された米国科学アカデミー紀要で報告したのである。

この科学的成果は、個体数が激減するホオジロザメをはじめとするサメ類の個体群動態(個体数や生物量、密度)について理解を深めようとする保全生物学者に、重要な情報をもたらした。

まず、人間には23対ある染色体が、ホオジロザメには41対あることが判明した。大規模なこのゲノムは、太古の生物が長期間に渡りどのようにして地球の海を支配してきたかを知る手がかりとなる。この手がかりはいつの日か、進化可能なわれわれの種があまり病気にかかることなく長生きするうえで役立つかもしれない(もちろん、われわれが先に地球を消滅させなければの話だ)。

「サメのゲノムを解析する資金を得るのは、かなり厳しい状況です」と、コーネル大学の進化生物学者であるマイケル・スタンホープは言う。彼は友人のマフムード・シヴジと、今回のゲノム・マッピング・プロジェクトを率いている。シヴジはノヴァ・サウスイースタン大学ガイ・ハーヴィー研究所の保全生物学者だ。

DNAシークエンシングによる遺伝情報の解析コストが下がる一方で、サメのゲノム解析はいまだに大がかりな事業となっている。数十万ドルというコストがかかり、その大部分をSave Our Seas財団のShark Research Centerが資金提供した。

スタンホープは、次のように語る。「歴史的に見ても、家畜や霊長類といった脊椎動物のDNAシークエンシングに、以前よりはるかに多くの関心が寄せられています。サメに関するいくつかの魅力的な生物学的研究が続けられていますし、それらは本当にさらなる調査を必要としているのです」

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最終更新:5/22(水) 12:15
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