ここから本文です

「実家の財産」を夫に相続させたくない…遺言書、3つの活用例

5/22(水) 10:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

※本連載では、公認不動産コンサルティングマスター・相続対策専門士の曽根惠子氏の著書、『変わる相続―家族や時代に合わせた活用術!』(サンライズパブリッシング)から一部を抜粋し、2019年7月から施行される民法改正を活用した「円満な相続」の進め方を紹介します。今回は、前回に引き続いて民法改正により手軽になった「自筆証書遺言」の活用例を見ていきます。

財産を親切にしてくれた「元職場の同僚」に託したい

 ケーススタディ1 〈子なし〉

妻に先立たれて子どももなく、一人暮らし、身内より同僚に託した遠藤さん

相続人関係

□遺言作成者 遠藤博さん60代(作成時)

□推定相続人亡兄の娘二人(姪)

□家族と相続の状況

妻に先立たれて子どももなく、一人暮らしが長くなった

遠藤さんは団塊の世代よりも少し上の年代で、集団就職が盛んだった昭和40年代に地方から都会に出てきました。就職した電力会社でずっと定年まで働いてきたので、現在は年金で生活をしています。一緒に暮らしていた妻との間には子どもに恵まれず、結局入籍しないまま、もう何年も前に亡くなってしまいました。それからは一人暮らしです。

故郷を出てからというもの、ほとんど帰ることはなく、もう都会生活の方が長くなってしまいました。故郷の両親も割に早く亡くなりましたが、特に財産もなかったので、相続するものもありませんでした。そのかわりと言えるのか、同居や介護などを考えることもなく、煩わしいこともなかったのは幸いだと考えています。

 遺言の内容 〈遺言者 遠藤博さん〉

 遺言を作る理由 〈交流のない身内の姪より、親切にしてもらった人に財産を渡したい〉

遠藤さんには兄がいますが、その兄もすでに亡くなり、身内といえるのは亡兄の娘二人だけです。しかし、その姪たちとは両親の葬儀や兄の葬儀のときに会った程度で、親しく言葉を交わすこともなく、日頃の交流はないため、どこに住んでいるのかもわかりません。とても自分の老後を頼んだり、財産やお墓のことを託せる心境にはなれないのが本音です。

遠藤さんは定年前の50代後半に、検査で異常が見つかり、入院、手術を経験しました。一人暮らしの遠藤さんには大変なことばかりです。それを察した職場の同僚の田中恵美子さんが、着替えや手続きなどいろいろと親切に助けてくれました。本当にありがたかったので、お返しに自分の財産は田中さんに託したいと思うのです。また、亡くなった妻の甥・渡辺健一さんにも、何度も会って世話になったので、預金の一部を渡したいと考えています。

相続人でない人に自分の財産を遺贈する場合は、遺贈したい人の住民票が必要です。一方的に書いておくよりも、事前に、田中さんや渡辺さんに自分の意思を伝えて了解をしてもらっておく方が価値がある、とアドバイスを受けたので、そのとおりに二人に話したところ、快く受けてもらい、住民票も渡してもらいました。

こうして事前に了解をもらって遺言書が作れ、遺言執行も田中さんに託すことができ、遠藤さんの不安はなくなりました。どこにいるのかもわからない姪たちよりも、身近に接してくれた人たちに自分に財産を渡すことができることが幸せだと感じています。

遺言がないと困ること

・相続人の姪とは疎遠で連絡先もわからない

・遺言がないと財産は相続人以外の人には渡せない

1/3ページ

最終更新:5/22(水) 10:00
幻冬舎ゴールドオンライン

記事提供社からのご案内(外部サイト)

富裕層・企業オーナー必読!「知識武装し、行動する」ためのWEBメディア。「資産防衛」に関する最新情報とノウハウを配信!

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事