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韓国政府、「積極財政」で経済難局乗り切れるか

5/22(水) 6:00配信

JBpress

 政権発足から2019年5月で丸2年。韓国の文在寅(ムン・ジェイン=1953年生)政権は今も50%近い支持率を維持している。

 国民の期待は強いが、「経済」については明るい材料が見えない。国民の不満と不安が高まる中で、「積極財政」で乗り切る方針だ。

 「国のGDP(国内総生産)比債務を40%に抑えるというが、その根拠は何なのか?  わが国は、積極財政の余力がある」

■ 40%の根拠は何か? 

 2019年5月16日、文在寅大統領は、2020年以降の予算の大枠の方針を説明した洪楠基(ホン・ナムギ=1960年生)副首相兼企画財政相にこう話した。

 質問というよりは、「積極財政」予算を編成するように事実上指示したと見るべきだ。

 韓国は比較的国の財政が健全だと言われてきた。予算を編成する企画財政部は、「40%」をマジノ線として政府与党の予算要求を管理してきた。

 この「暗黙の了解」が2020年予算で崩れることは必至になった。

 文在寅大統領は、野党時代に、前の朴槿恵(パク・クネ=1952年生)政権が積極予算を編成しようとすると「40%ラインが崩れる放漫予算だ」と厳しく批判したことがある。

 このため、保守系メディアは「変節だ」と批判の声を上げている。

 だが、大統領自身はもともと緊縮財政派ではない。選挙期間中も「小さな政府が正しいという誤った認識を直す」と繰り返し主張してきた。

 さらにここへきて、さらに積極財政に乗り出さざるを得ない事態も続出している。

■ 週52時間制導入でバス運転手が苦境に

 5月15日、全国のバス会社の労組が待遇改善を求めてストを計画した。

 韓国では公共交通手段に占めるバスの比重が高い。ソウル郊外からの通勤にバスを使う例も多く、ストが実施になれば大混乱に陥るのは必至だった。

 バス運転手など労組が求めていたのは、政府が導入した「週52時間勤務制度」の補完措置だった。

 韓国でも働き方改革への要求は強い。政府はこれを先取りする形で、2018年7月に「週52時間労働制」を幅広い業種に導入した。

 日本のような労使合意の上での柔軟労働制の幅は狭く、その代わりバスなど交通業については1年間の猶予期間を設けていた。

 それまでの労働時間は「週68時間」だった。

 1日8時間、週5日間の40時間勤務に時間外12時間で52時間。これとは別に、週末勤務が1日8時間、週2日間でき、週68時間という計算だった。

 ところが、韓国でも長時間労働が問題となり、特に、週末を「計算外」とする根拠に乏しいことから、「週52時間制」になった。

 バス運転手の場合は、経過措置期間が1年間あり、7月に導入予定だ。

 バス運転手の長時間労働は、安全問題にも直結するため、改善を求める声は強い。一方で、運転手の立場に立てば、労働時間がかなり減ってしまう。

 月収300万ウォン(1円=10ウォン)程度の運転手の場合、月収が80万ウォンほど減るとあっては、死活問題だ。

 一方のバス会社の立場に立てば、これまで通りの運行を続けるためには、運転手をさらに雇用する必要がある。

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最終更新:5/22(水) 12:05
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