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「5年以内に競争力が低下する」大企業が危機感

5/22(水) 6:15配信

JBpress

 デジタルテクノロジーの普及により、自社の優位性や競争力を損ないかねない――。デジタルテクノロジーがビジネスに与える影響に、多くの国内企業が危機感を抱いている現状が調査によって浮かび上がってきた。

【図】上場企業に対するIPAの調査結果:デジタル技術の普及による自社への影響

 情報処理推進機構(IPA)はデジタルテクノロジーの活用によってビジネス変革を推進する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の現状や課題を把握する目的で、東証一部上場企業1000社を対象にアンケート調査を実施するとともに、10社には直接インタビューも行った。2019年4月に発表した調査結果によると、回答した92社のうち58.7%が、「デジタルテクノロジーの普及による自社への影響」として「自社の優位性や競争力の低下」を挙げた(図1)。

 調査の回答率は1割にも満たない。結果としてアンケートに答えることができたのは、DXにすでに取り組み始めたか、取り組みの必要性を強く認識している企業が中心だったものと考えられる。だが、それを含めて国内企業によるDXの動向を知る手掛かりになる。アンケートでは取り組み内容や成果の状況、組織体制など具体的な問いを設けたためである。

■ 競争力を保てるのはせいぜい5年

 AIやブロックチェーン技術を駆使したフィンテック、IoTを活用した不動産テックやアグリテックなど、さまざまな新サービスをいち早く生み出して実用化するスタートアップ企業が相次いで登場している。一方で大手企業のなかには、すでにスタートアップ企業が本格利用しているデジタルテクノロジーであっても、その有用性を「改めて」確認するPoC(概念検証)を実施する段階にとどまっているところが少なくない。こうした現状を東証一部上場企業が危惧する様子が、調査結果から垣間見える。

 「将来的に自社が競争力を維持できる年数」を問う設問に、「約2~3年後」と答えた企業の割合が22.8%にのぼった(図2)。「約5年後」とした企業を含めると、その割合は50%を超える。実に回答企業の半数以上が、近い将来、自社のビジネスが立ち行かなくなる可能性があると認識していることが分かった。

 ただし、危惧してはいるものの、DXの取り組みはあまり進んでいない。DXの成果として期待されることが多い「新規製品・サービスの創出」について、「すでに十分な成果が出ている」または「すでにある程度の成果が出ている」と答えた企業の割合は、合計で7.6%にとどまった(図3)。「既存製品・サービスの高付加価値化」においても、同様に合計12.0%だった。

 また、回答した企業のうち6割超が「ビジネス変革や新ビジネスの創出の必要性」を「非常に強く感じている」としたが、今のところ製品・サービスの創出や高付加価値化、現在のビジネスモデルの根本的な変革に「取り組んでいない」企業は多く、図3に示すとおり回答企業の4割超~6割超を占めた。

■ まったく足りていない「DX推進人材」

 DXに着手しているけれど、なかなか成果が上がらない。デジタル化の進展に伴う競争力の低下に危機感を持っているのに、DXに取り組んでいない。大きな原因のひとつになっているのが、人材不足の問題である。

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最終更新:5/28(火) 15:00
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