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東大合格者数日本一、開成学園が実践する「餌まき」教育の強み

5/22(水) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

 近い将来、AIやロボットが多くの仕事を代替すると考えられている。そのとき人間に必要なのは、「AIにできない仕事をする」能力だ。脳科学者の茂木健一郎氏は、これからの時代には「自分の頭で考えられる力=地頭の良さ」が重要だと語る。茂木氏の最新刊『本当に頭のいい子を育てる 世界標準の勉強法』から一部を抜粋して、自分の頭で考えられる力を育む「探究学習」を紹介する。

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● 開成にガリ勉はいない

 東京都の西日暮里に学舎を構える中高一貫の私立男子校、開成中学校・高等学校(開成学園)は、東大合格者数日本一を誇る名門中の名門です。

 開成学園では、いわゆる探究学習やアクティブラーニングと銘打った授業はありません。教員一人ひとりが教材と授業形式を自由に選び、工夫するので、結果的に探究学習やアクティブラーニングを行なっている場合もあります。そうなると、生徒たちが自分で考える力や問題を探究できる力を十分に育むことは難しいのでしょうか。

 そうではありません。探究心を育むのは探究学習という授業だけではないからです。

 校長の柳沢幸雄先生を訪ね、開成学園とはどんな学校なのかをお聞きしました。柳沢先生は「開成という学校は、学校がこうしましょう、といって動く学校ではないんです。生徒が主導になって動き、学校はそれをサポートするというのが基本的な姿勢です」とおっしゃっていました。

 開成学園では、通常の授業や、運動会、学年旅行、文化祭などの行事を通して生徒の興味や好奇心を刺激していきます。このことを柳沢先生は「餌まき」とおっしゃいました。

 例えば、漢文の授業をする、学校行事を開催する、というのは学校側が生徒たちに向かって餌をまく行為です。学校側は、生徒たちがどんな餌に食いついてくるかわかりませんから、いろいろな種類の餌を用意して食いついてくるのを待ちます。

 ある生徒が漢文の授業を受けていて、その面白さに興味を惹かれたとします。すると、その生徒は授業以外にも、漢文の本を読んだり、資料を調べたりして、興味を追究し始める。ここまでが学校側がまいた餌に生徒が食いつくということです。つまり生徒の興味や好奇心を刺激したことになります。

● 部活や委員会、学校行事で「探究心」を育む

 さらに、生徒がもっと深く漢文の世界を極めたいと思ったとしましょう。しかし、その方法がわからない。そこで登場するのが部活や同好会です。開成には23の運動部(1つは休部中)と、29の学芸部、16の同好会があるそうです。全部を合わせると70近くになり、生徒のほぼ全員がなんらかの部活や同好会に所属しているとのこと。

 珍しいところだと、ゲートボール部、山岳部、クイズ研究部、折り紙研究部、社会科研究部、物理部、数学研究部、海馬研究会、エコカー同好会、開成航空宇宙同好会と、とにかくあらゆる分野の部活や同好会があります。生徒の興味や好奇心を満たしてくれ、かつ深く探究できる分野が網羅されているといってもいいでしょう。

 2017年に「数学オリンピック」で世界一になった開成の生徒は、数学研究部に所属していたそうです。僕が以前出演していた日本テレビ系の『高校生クイズ』という全国の高校生が集結するクイズ番組では、開成高校のクイズ研究部は常に出場常連校であり、優勝候補でもありました。このように、生徒たちは自分の興味にしたがって部活動をやり、楽しみながら探究しているというわけなのです。

 部活や同好会の他にも、生徒会、図書委員会、保健委員会、運動会や文化祭などの学校行事の委員会などもあり、かけもちして入っていくつもの活動を行なっている生徒たちも大勢いるそうです。さらに、運動会や修学旅行といった大きな行事も、生徒自身の企画や運営に任されています。

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最終更新:5/22(水) 6:01
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