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ジオングに脚をつけたがる日本企業が、中国企業に後れを取る理由

5/22(水) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

● 日本の経営者とダブる ジオングの脚にこだわる「偉い人」

 唐突だが、筆者と同世代の人ならガンダムが好きだったという読者が多いのではないだろうか。今回は中国のIT産業と日本のジャパンディスプレイ(以下、JDI)の話なのだが、出だしはガンダムから始めさせていただく。いや、もう40~50代のガンダム世代に向けて書いているといってもいい。

 現在でもさまざまなガンダムのアニメが制作されているが、ガンダムシリーズの第1弾、いわゆる「ファーストガンダム」では、地球連邦軍のアムロ・レイとジオン軍のシャア・アズナブルという2人の登場人物の成長と戦いが、物語のメインになっている。主人公である連邦のアムロが搭乗・出撃する「モビルスーツ」(ガンダムに登場する架空の戦闘ロボット)としては、ガンダム1機のみが物語を通して登場している。

 もう一方のジオン軍のシャアは、ザク、ズゴック、ゲルググといった新型モビルスーツに搭乗し、アムロと対峙する。次々と新しい機体を開発する技術力を誇示しつつも、上層部の内紛などにより結果的には戦略レベルで連邦に負けてしまうジオン軍は、まるで日本の製造業のようでもある。

 ファーストガンダムの終盤、劇場版3部作でいえば『めぐりあい宇宙』編では、シャアが最後に搭乗するジオングというモビルスーツが出てくる。シャアは初めてジオングを見たときに、脚がなく80%の完成度だと聞いて、整備士に不安を吐露する。それを受けて整備士は、「あんなの(脚)飾りです。偉い人にはそれが分からんのですよ」と、脚がないモビルスーツでも性能は100%引き出せると自信を示す。名シーンである。

 このジオングの脚にこだわる「偉い人」は、日本の経営者ともダブるように筆者には見える。

● 深セン滞在中に体験した イノベーションのレベル

 話は変わるが、イノベーション研究者としては遅ればせながら、最近中国の深センを訪れた。検索や地図にはGoogleやYahoo!ではなくBaidu(百度)を、チャットにはLINEではなくWeChat(微信)を、支払いにはSuicaではなくWeChatPay(微信支付)を使った。

 実は、外国人がWeChatPayを使うにはかなりの苦労を伴う。中国の銀行口座と紐付いていないと、電子マネーが原則チャージできないからだ。そして、中国の銀行口座を外国人が開設するのもとても難しい。中国人による不正な外貨持ち出しを防ぐための措置なのだろうが、外国人には不便なことこの上ない。

 とはいえ、いろいろと調べていくと、外国人でもWeChatPayにチャージをする手段があることがわかったので、深セン滞在中に商店、レストラン、地下鉄などさまざまなところでWeChatPayを使ってみた。

 BaiduもWeChatもWeChatPayも日本で有名な中国のITサービスであり、深センをはじめとする中国のIT業界の先進性を示す代表例として挙げられることも多いが、実際使ってみた印象は「どれも80%の完成度」という感じだ。

 Baiduも、中国語を母国語としてないからという理由もあるかもしれないが、検索エンジンはGoogle、Yahoo!のそれと比べて優秀とはいえない。地図アプリも悪くはないのだが、Googleやアップルより良いかといわれると、それほどでもない。

 そもそもの地図データの精度でいえば、やはり日本のゼンリンには敵わない気がする。WeChatも中国では、日本におけるLINE同様にとても便利なコミュニケーションツールであるが、デザインや操作性などはLINEに比べると洗練されているとはいえない。

 WeChatの一部のサービスとして提供されているWeChatPayも同様だ。支払いには店舗側のQRコードを読み取るか、こちらのQRコードを表示させて店舗側にスキャンさせるかの2通りがあるが、QRコードの読み取りと表示では異なるメニュー操作から入っていくので、シームレスで一体的な操作感はない。

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最終更新:6/7(金) 1:20
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